水分取り方とだめよ解熱剤
暑い!まだ梅雨も開けないのに。8月に満開になるはずの百日紅まで真紅に咲き誇る有様… 自転車通勤も走れば極楽、とまればどっと汗拭き出て地獄だあ… そんな七夕日曜日、今日は都知事選。どうなるのかな? 日曜日診療終えて、残業ソコソコに投票所に走りました。 そんな今日の診療…、コロナ(たまたまかもしれないけど)増えたな…という印象、微熱、ちょっと喉が痛い…でも調べて陽性の方、多い。受診時は、かつての陽性者とくらべて、明らかに症状が軽少な方が多い。暑くてマスクしていない人も多いし、夏風邪と思ってそもそもクリニックに受診しない人も相当数いらっしゃるだろうから、きっとかなり増えているのでしょうね。
熱中症予防の対策や注意喚起はメディア等でも取り上げられているし、私もこの時期のblogちも取り上げていたから今更感もあるけど、今日は患者さんからの質問から。
まず「普段水分取らないからこまめに補給と言われてもわからない」って。 ざっくり成人が1日に必要とする水分量は2.5Lといわれている。 とは言え、必要水分量は年齢や体重で異なり、必要水分量算出の計算式がある。
体重(kg)×年齢別必要量(ml)=必要水分量
【年齢別必要量】
- 30歳未満・・・40ml
- 30~55歳・・・35ml
- 56歳以上・・・30ml 例えば50kgの55歳の人 35×50=1650ml
約1Lの水分を食品から摂取しているから、その分も考慮しなければならない。汁ものを多く取る人はその分食事からの摂取が多くなり、あまり取らない人は反対に、飲料水での必要摂取量が増えることになる。また、体内で作られる水が約0.3Lある。上記1650ml必要な人で食事の水分でどう考えても1L取ってないとして、その半分。ざっくり1000mlくらいは意識して水分取るようにとなる。で、「こまめに」と言われる理由。身体が一度に吸収できる水分量は、200~250mlくらいだそう。吸収しきれなかった分は尿として排出されてしまい、無駄になるばかりか、ときに、一度に大量に取りすぎる腎臓での処理が追いつかず体内に水分が溜まり、体の電解質、特にナトリウムが薄まり「低ナトリウム血症」を来してしまうこともあるから注意。「こまめに」の具体例。200~250mlはコップ1杯程度であるため、1日6~8回に分けて飲む必要があり、特にあまり水分を取る週間のないひとは、この時期、時間を決めて取るのがコツ。「朝起きて。10時、おやつの時間、風呂前、寝る前」を食事と合わせて組み込むなど。 暑いからといえ、水分取り過ぎの目安としては、「1時間以内に1L」は飲み過ぎ。運動をするのであれば、運動を始める約30分前に250~500ml、運動中は20~30分ごとに200ml程度、運動後には減った体重を補う量を摂取がおすすめ。喉が渇いたからと一気に飲むと「水中毒」の危険が増すので注意してくださいね。 あと、注意事項として、水分とりすぎの症状が「頭痛」「嘔吐」「むくみ」に加えて、重症の場合は「意識障害」と、一見「熱中症」の症状と似ていること。熱中症の場合はやはり、体温が高めになっているからその点が鑑別になる。
次にちょっとびっくり!でも鋭い質問。「熱中症だから、体温下げるのに解熱剤飲んじゃだめ?」 熱中症はクーリングとか、冷却処理とか、霧吹きやミストでの気化熱を利用して体温下げる がマニュアルの如く、頭に刷り込まれて「カロナール、ロキソニン」 って、発想はなかったけど、患者さんからの質問で、灯台下暗しのような質問。 これは、ダメ! そもそも、コロナにしても歯が痛いにしても、体内の炎症によって作られる物質が脳内の視床下部、体温の調節を司る部位に働きかけて体温上昇につながるから、解熱剤はこの物質を抑えることで解熱作用を発揮する。熱中症はこれとは違う。体内は外的な高温にさらされると皮膚呼吸や、汗など自律神経の働きである程度までは恒常性を維持できるけど、この限界を超えて体の深部温度が上昇したことで心拍上昇、末梢血管拡張で局所や末梢で血流障害が起きることでの発症だから、解熱鎮痛薬は効果ないばかりか、腎臓や肝臓の機能を低下させることにもなりかねないから、むしろ遣うことを控えるべき。
暑い中、来院された患者さんからの質問で、まとめてみました。来週は曇りマークがならぶ週間予報だったけど…。 工夫して乗り切りましょう!