父の背中
遅い梅雨入り、豪雨、前代未聞の七夕都知事選挙‥ひとつひとつの事象は当たり前のことに、何かと「前代未聞」「初の」「観測史上最も」‥など接頭語がつく6月末。診療報酬改定でバタバタしているうちに日にちが過ぎていく。 せめてプライベートはとにかく平穏、静か~に流れてほしいもの。 そうはうまく行かないのが世の常。あと10年くらいして、この日記ならぬblogが続いていたら読み返した時、どんな気持ちになるんだろう‥。 先週(日)は父の日だった。先月の熱発、気管支炎を何とか入院せずクリニックでの治療で乗りきったと思いきや、また、最近ゴホゴホが増してきた。口腔リハビリ頑張っても所詮、自分の唾液でも誤嚥しているのだから、慢性的な炎症は絶えずありそう。おまけに若い頃のつけの肺気腫。同居していると「覇気具合」でおおよそ血液検査結果が想像できる。また、点滴しなきゃかな‥? 悪いことはまた、続く。(木)早朝、けたたましい物音。夢?なんか落ちた? ねぼけまなこで起きて点検。と、薄暗い玄関で父がた折れ込んでいる。転倒した音だったのだ!玄関扉は鉄骨。床は石。「おとうちゃま!」駆け寄ると、「滑って転んじゃった!」何でこんなとこで! 何かあって転ぶのが80才台、何もなくて転ぶのが90才台、誰が言ってたっけ。 幸い呼び掛けには応答するし骨折は免れたけど、頭打ったみたいだから、この後血腫できなきゃ良いのだけど‥。 抱き抱えて起き上がらせようとするも、びっくりしたのか、腰が抜けて力強いがはいらないみたい。母の時の介護と違い、まだ父は脱ぎ着や排泄は自分でできるから、そこまでぴったり身体を合わせて接触する機会はなかった。せいぜい痒い背中に軟膏塗りたくるぐらい。 まあ、なんとちっちゃいこと! 92才の父の背中‥ 変に力を加えると折れてしまいそう。 私たち家族を支えた父の背中、今は暖かい。でも、もうまもなくこの温もりが消えてしまうことが起きるのではないだろうか。 嫌な予感‥ まだ排泄、脱ぎ着、入浴、食事‥そこは自分でできるけど、記憶やひとつひとつの動作にかかる時間は下降線。 上記所作ができるうちは、本人も頑なに拒否するから施設行きは無理強いしなかったけど。ぺースがゆっくり過ぎて仕事抱えての介護者としては、時間がとられすぎて、この点での限界がくることは想定外だった。 そういえば、とうとう私を「摂子さん」母の名前を口走ったっけ‥。 この先どうしようか‥。 一方、クリニックに来院の患者さんの中には、私より数倍も過酷であろう介護を「笑い飛ばすか、みんなに聞いてもらってやり過ごすわよ~」なんて、大変さを微塵も出さずにやってのけている人も。その人の器の問題か…。 うちはまだまだか… でも仕事にしわ寄せは避けねばならない。そのバランス。 最終的には、私の人生。ひとり残ったとき、父に対して自分が後悔しないですむよう、身の振りを考えていくしかないのかな今の状況。予想していたわけではないけど、定休と合わせて水曜午後から日曜日まで、速めの夏休みをとります。健診始まる七月に備えて。