9年目を迎えての整理。
いよいよ関東も今日から明日にかけて滝のような雨の予報も。明日の朝私は出かけなければならず‥。クリニックは休みで良かったけど。
相変わらず父は小康状態‥。というか、あんな肺の状態でしかも痰をごろごろしているわりにはルームエアーでSatが97のこともあり、生命力の強さを感じてしまう。宇宙人と交信しているようなおかしなことを言うのが常。でも時に、私と認識して「風邪を引かないように」「危ないことはしないように」なんて言うのだから、入院呆け進行状態にありながら頭のなかはどうなっているのだろう‥。それに、「助かった‥」何を指してそう発するのかはわからないけど、時々言う。少なくとも、父の心は安定していると思いたい。
実はそう言う私も、今回の父の入院生活でどこか、変な安堵感、誤解を覚悟で言うと「肩の荷がおりた」という心持ちがしている。 振り替えればこの20年‥。私もそろそろ仕事のみでなく、パートナーとの生活も考えていた矢先、母の乳癌、その術前検査のPETで胆管癌も見つかった。突然の出来事だ。青天の霹靂。 年齢的にも自分の人生を優先させる選択もあった。が、ある日、私が病棟の廊下で胆管癌の執刀医となる先生と話しているのを、まだ乳癌手術後間もない母が病室から出て、遠くからこちらを見ていたらしい。背中を向けていて気がつかない私に、その執刀医から「お母様が不安そうにこちらを見ているから行ってあげなさい」私よりかなり年長の医師にそう言われ、振りかえれば所在なさげな母の姿がポツンとあった。じっとこちらを見てた。 瞬間「やっぱりわたしは家族を優先しなきゃ」今でもあの情景と覚悟は心にしみついている。 そこから始まり、母の闘病生活の支えと看護、母なきあとの父の世話、認知症に誤嚥性肺炎くりかえす父との生活。特にこの数年は先が見えない父の介護に、はじめての経験に悩むこと、仕事との両立で体力の限界も感じていた。 後悔はない。成人しての父との同居で学んだ物事の考え方や捉え方。母からは学ばなかった捉え方。 この両親の子供で良かった‥。 一方で高齢の、自分より弱くなった両親のいく末、対峙しなければならない、よくないデーターや事実にどぎまぎしながらの生活からやっと解放される‥。もう、出てくる事実に不安にかられることはなくなり、自分の生活を優先させることすらできるんだ‥ でも、母方の祖母は卵巣癌、母は乳癌と胆管癌。その母と私は血液型、髪質、歯が弱い、何より性格‥すべてそっくり同じ。外胚葉、その他違わす、内胚葉だけ受け継がないなんてことはまずないだろう‥。となれば、私は短命か?奇跡的に母は75まで生きたけど祖母は会うことなく55まで行かず他界らしい‥。あちらは系譜は短命。 父みたいに90代‥なんか無理そうだ。タイムリミットありとしたら、今のまま続く生活じゃ不完全燃焼‥。親の世話が終わって自分が病気がちに‥なんて話も患者さんでいらしたっけ。
そういう心持ちで迎えた9月1日。 この日、開業9年目突入となった。「ふるさとでの開業」。患者さんよりは専門の知識がある分、少しでも良いアドバイスができて、役に立てれば‥。そんな気持ちで始めた。今もその気持ちは変わらない。でも、9年前には考えも及ばなかった状況に困惑と、怒りすら覚える事象が最近多い。 考え方が合わない患者対応だ。 そういうケースは大抵、ある程度診療が終わったと思う頃にきりだしてくる。「AIが言うのはこうだから、この薬がよい、この検査がしたい」「薬剤師がこう言ったから‥」「混んでる○○科にいくのがめんとうだからついでにこれも処方して」それも、多種類‥。 わるいけど、私の診療よりAIや、薬剤師の言うことを信じるなら、なぜクリニックに来るの? それに、私は薬のATMじゃない! 瞬間、私はぶちギレ。私にも感情はある。黙って聞いてりゃ言いたいことを‥ったく! 責任所在がはっきりしない診療はしたくない! 患者さんの話を聞き、鑑別を進め、内科医として必要な検査、薬の処方をするのが診療のスタイルと考えてやってきた。そのために、専門外のセミナーには参加して日々知識を仕入れる努力もしている。医学は日進月歩。 しかし、そうでない患者に心折れる日々も多々あり‥。こんなこともあった。熱が続き、採血したらデータ異常があり、念のため専門医に紹介した。本人も気にして納得して受診したのに、結局異常ないことがわかれば、なんで紹介したんだ、不安でしょうがなかった‥と、文句を言われ‥。なんで?大事に至らずよかったはずなのに‥。 口コミや評判を気にして患者と事なきを得る開業医もいるだろう。言いなりに薬を処方、しかも希望通り何ヵ月分も!(ご希望あれば紹介します) 私はそれは嫌だ。 (そういう患者、帰るとき決まってクリニックの玄関、凄い勢いで閉めていく。面白いアルアル。自分の思いどおりにならないから物に当たるような患者なんだよ。所詮そういう人は!) 独りよがりな患者の利便性や、自分の希望通りの検査や処方を求める患者に困惑しながら、私の余生、折れるこころを抑えて無理することないかな? とはいえ、昨日なんかは貴重な土曜休み、きちんと血圧手帳やスマホアプリ持参でクリニックにくる、ちほクリボーイズ(私が勝手にそう呼んでいる、平均年齢ざっと60前後男子。つまり我が世代ボーイズ)、腰がいたいと言いながらもやってくるおばあちゃん。9年経てばさすがに家族とまでは言わないが、捨て置けない患者さんも多数いる。 どうしたものか‥。 ペイシェントハラスメント という言葉も存在するのだから、せめて私は、考え方の合わぬ患者は「診療していく自信がないです。」とお断りしようと決めた。
自分のクリニックなんだから、心寄せてきてきてくれる、価値観合う患者さんを丁寧に最後まで診察する、それが、気持ちよい働き方。そう決めた。 幸い今私は人生最大のモテ期のようだ。医師としてのモテ期。これも年齢からはあと数年‥。かつて勤務歴のあるところからも内視鏡検査依頼。時間あったら手伝ってと。そういう道もまだあるから、クリニックはボチボチとなってもなんとかやっていけるだろう。
