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H.ピロリ抗体正常高値、疑陰性

[2025.04.06]

今年は思いのほか、寒さに持ちこたえてくれた満開の桜、あちこちで堪能。 それにしても…なんで満開の桜を愛でると、特別な気持ちになるのだろう…美しい、圧巻とか、そういう一言では片付けられない…穏やか、懐かしさ、はかなさ、ほっこり… 世の中、美しい草木は数限りなくあるけれど、満開の桜にひとり対峙したとき、特別な気持ちが込み上げる。
そんな4月第一週、今回は、検診結果で「要精査」を指摘され、来院された患者さんの項目の中から話題を見つけたので、題材に。
「血液検査でピロリ菌偽陰性 要精密検査」について。血液検査でピロリ抗体を調べると菌感染の有無がわかる。「偽陰性?精密検査?」結果表だけ送られた患者さん、一応、解説はあるものの、今一つ理解できない様子。 では解説しますね。 

Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体Ⅱを用いた場合、10未満は陰性ということで、あたかもピロリ菌には感染していないように思えるけど、これは臨床的に現在の感染有無を見ていて、確かに今は感染していない確率が高い。けれど、検査する人が増えてくるにつれ、感度ぎりぎりの3U/mL未満であっても「胃がん低リスク」とは言い切れない、3U/mL未満のHp感染例もあったり、また、3以上10未満、
今回来院された方のような、「偽陰性」の方の(様々データーありますが)75%に実際は既感染ですでに胃癌発生しやすい粘膜の素地ができあがっていたり、2.6倍に陰性者より胃癌になりやすい、あることがわかってきました。また、実際にピロリ陽性のはずなのに偽陰性のケースも10パーセントくらいはあるようです。
理由はいくつかあります。例えは以前抗生剤を服用した時、存在していたピロリまでもが知らぬ間に駆除されてしまった、萎縮という胃癌の発生母地になるような胃粘膜変化を強く形成しすぎてピロリ菌自体が胃に存在できなくなり抗体値が、低くなったケース、年齢があがるにつれて免疫能が低下して抗体価も低くでがち‥など。 このように「偽陰性」のなかにはすでに胃癌発生母地ができあがっていることもあるから、きちんと胃カメラで粘膜の状態を確認したほうがよいというわけです。また、ピロリ菌の存在を確認する方法はほかにもいくつかあるので、現在ピロリがいて、除菌治療が必要かどうかは検査を組み合わせて判断する必要があります。

今日はピロリ菌偽陰性について、解説してみました。

今やこの季節、私のきれい自慢。診察室窓からのミモザ風景。あらら草むしり御父も?

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