メニュー

院長ブログ

涙について(2021.10.24更新)

今日日曜はすっきり朝から晴れ渡り…晴れれば、遠く富士山の雪化粧も朝の通勤で拝める季節。いや~それにしてもこの一週間は寒ーかったですね。慌てて極暖ヒートテックを出しましたよ。

この一週間のクリニック…いつも通りの診療の中に「涙」を考えることが多かった気がします。「えっ?どういうこと?」 はいはい、今日は涙に纏わるお話しを。

診察室で顔を合わせるなり「昨日、主人が亡くなりました…」そう話しをはじめる女性の患者さんが今週はお二人、ある日の午後と次の日の午前中に来院。「薬もちょうどなくなっちゃって…」 お二方とも、毎月いらっしゃる度、ご主人の話もされていたから、それぞれに今、どんな状態であるか、看病している家族の苦労や不安も多少は聞いていた。一方の患者さんは、長らく歳の離れたご主人の介護からはじまり、最期は癌を患ってまでも、本人望むようにと自宅介護に専念していた奥様。看病している奥さんの体調もかなり無理がたたっていて不安ではあったので(それが適切かはわからないけど)「奥さんもよくここまで頑張りましたね。もうここまでご本人望むように自宅でお見送りしたんだから…」涙ぐむ奥様にそう声かけた。「ほっとする一方、こんな涙が出てしまって、すみません…」そう話されて帰られた。もう一方奥さん、ご主人にも何度か顔合わせて見知っていたので、もう少し踏み込んだ話も。先月薬を取りに来てから、ご主人はあっという間だったようで、ある日、トイレで自分の着ていたものまで一緒に流してしまい、トイレを詰まらせってしまったと。水浸し状態の中、ご主人に奥さんはびっくりし、これ以上うちでは看病できないとのことで、たまたま入院できた病院で最期を遂げたと。奥様にとってはトイレの一件が相当ショックだったようで、その話をしながら泣き出してしまった。「予期せぬことが起きるとびっくりしますよね…私も同じような経験があるの。母が亡くなる間際、料理が大好きだった母が何か作りたいというから、車いすごと調理台に連れていって、気が済むようにお料理させたの。手の力もないから野菜ちぎったり、出来合いのお料理の素みたいの混ぜるだけよ。そしたらいきなり『これも入れると美味しいのよ』って言いながらシリカゲルの袋も一緒に開けてボールの中に混ぜちゃったの。本人ホントにそれが何だか、もうわからなくなっちゃってるみたいで。夢中に混ぜたあと『出来上がり。美味しいから食べてみて』って。にこーって笑って差し出されたとき、私も何が起きてるかわからずびっくり。多分○○さんがご主人を目にしたときとその時の私、おんなじ気持ちだったんじゃないかな。後で調べてわかったんだけどこういうのせん妄っていって、末期癌の患者さんにも起きることなのよね…」 そう説明しながらもあの時のにこーって笑った母の顔と、後でこっそり捨てたときの切なさが脳裏に浮かんで、奥さんと一緒に私まで泣いてしまった…。「それでも何だかホッとしたのか昨日はぐっすり寝てしまいました…」 「数ヶ月間、ずっと不安を抱えていたのだから疲れて当然。ゆっくり休んでね」 そんな会話で終わった。 それにしても、涙ってどうして出てくるんだろう。お二方の悲しくて出てくる涙。そしていい加減、母が亡くなって10年も経つのに、こんな時にまで涙が出てきてしまう涙も、前者とはちょっと違うタイプの涙? 常連さんの前だからまだしも、出会ってすぐの患者さんの前で涙見せたら、「この先生ヘン?」 って思われちゃう。 あと、今回は関係ないけど「嬉し涙」っていうのもあるし…気になってちょっと涙について調べてみた。小学生の素朴な質問みたいだけど私もわかってない涙の不思議…。

そもそも涙の役割は三種類ある。目の表面を潤して機能を保護する、玉ねぎ切った時のような刺激にたいする反射性の涙。第三の涙というのが「感情の涙」と呼ばれるもので、これは人か存在しないとのこと。他の動物には存在しない。悲しい、嬉しいなど、感情が高ぶると交感神経が優位になる。ずっと興奮状態だと脳も疲れきってしまう。バランスを取るように働くのが副交感神経で、この神経が涙腺を刺激する。だから涙を流すということは、何かの理由で緊張状態、興奮状態にある脳を、バランスを取るように働いて、副交感神経にスイッチする。副交感神経が優位になるとリラックスした状態になり、気持ちも落ち着き、安眠効果も得られる。よく、「泣きつかれて寝ちゃった…」なんてことも耳にするし、そうそう、この奥さんも「久しぶりにぐっすり寝た…」って話されていたっけ…  さらにもうひとつ、大脳の前方、こめかみあたりに「前頭前野」というところがあり、ここが「共感脳」といって相手の気持ちの共感したり、映画やドラマでもらい泣きしたりすることに働いていている。涙を流す前にはこの部分の活動が高まり、副交感神経優位となり涙腺が刺激されることもわかっている。涙を流すことは起きながらにして副交感神経を優位にさせることができ、睡眠と同じくらいのリラックス効果もあるのだとか。  へえ…涙を流すことは生体防御反応のひとつでもあったんだ… あと、こんなアドバイスもあった。「現代人はストレスに晒され緊張状態。バランスを取って心を解放させるひとつの方法として泣くことで副交感神経を優位にすることも一法。週末に共感する映画やドラマを見たり…自分の泣きのツボを持っておくのも良い」とのこと。

へえ…私の泣きのツボは母なのかなあ? 亡くなってもなお私の心の安定にまで、絡んでくれちゃってて、頭の上がらぬビッグママ…

付記 御父に今日のblogたった今読んで聞かせたら(この時間まで起きている)「オトウチャマが死んだら清々したって言うのかなあ」 だってさ!

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME