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コロナ渦中の3年経過

[2021.08.29]

「この時期の暑さは堪えますねえ」 朝早くからの容赦ない暑さに、来院される患者さんの声。玄関の自動体温計もおでこでなく、肩や頭を拾うと途端にけたたましいアラーム音。みな38度超えちゃうよねえ…容赦ない日差しを浴びた直後だもの。

「今週はやっと息しながら仕事ができました」 スタッフの一人がそう言ったが、今週は先週より幾分、発熱問い合わせも穏やかだった。都内の日々の感染報告がクリニックへの仕事に反映されるのか!と思うほど顕著に変化が現れる。

確かに…8月に入ってからはここ数回のblogの如く、常軌をいつした発熱対応に追われていた。電話もつながりにくく、せっかく来てくださる常連さんとは隔てての発熱患者さん対応にも人数には限界。また、電話で重症状態を訴える方、或は抗原検査とPCR検査の違いを電話で求められ、「ホームページをみてください。書いてあります」 といえば、「不親切な対応だ」と怒鳴られてしまう。「ちほ内科クリニックです」 というよりも前に電話にでたとたん「PCRやってくれますか?」 うちはPCRセンターじゃありません…  と言いたくなってしまうような状態。 そんな殺伐とした状況下で、スタッフの一人は体調を崩してしまう始末… 「先生が疲れたって思うってことは相当な仕事量ですよ」 かつて私と別の医療施設で共に働いたナースからもアドバイス。そうね… スタッフの健康状態にも目配せしながら切り盛りして行かなきゃ。反省…  さらには…第5波での現場の状況を包み隠さず記しておくことは、自分の為にも、将来コロナ渦を振り返ったときにも必要なデーター考えて書いてきた。 けれど、患者さんに私の体調まで心配されてしまい… 「どうしてるか心配で見ていたけど大丈夫そうね」 患者さんとして来てくれている、幼い頃からの知人… 「夜中に患者さんに公園で連絡とるのは危ないよ」 複数の患者さんからのアドバイス。受診して帰り際に「blog読んでますよ。先生…まあまあ…押さえて押さえて…」 にこって笑って診察室をあとにする男性の患者さん… 余りイロイロはっきり書きすぎると患者さんにまで心配される始末…あらら、これじゃちょっとイケてないなあ… 

「適宜休まないとこの持久戦には勝てないな」 そう考えて今日もそうだけど、第5日曜日は今後お休みにしようと決めた。 「明日はゆっくりできる!」 開放感に浸りながら昨日、電子カルテを閉じようとクリックしようとした瞬間、その日の来院患者さんの一覧が目に入った。「3年経過したんだ…」 そんな気持ちが沸き上がった。2018年9月1日開業…日曜日だった。電子カルテに上がってる人達は、ほぼ3年前は相手も私も全く知らなかった人達。 なんか不思議な気分。もっともコロナ渦での検査絡みの来院の方も含まれるから全員と言うわけではないけれど、でも、この中の幾人かは将来も長い付き合いになるのかもしれない…私も相手も歳をとりながら月一回、数ヶ月に一回のやり取りでも、身近に起きた出来事に言葉を交わしながら、長い年月かけながら歴史が積み上がっていく…地元に根ずいて医療をするっていうのはそういうことなのかな。 そういえば、数時間前までやってたコロナワクチンの接種、3回の時間帯を設けて予約時間を設定すれば、ちゃんとその時間に集まって来てくれる。玄関の体温計のアラーム音がなりまくるような暑い時間帯なのに。 問診票に記載の住所はほぼ、府中市武蔵台だったではないか… 3年前は住宅街の小さなクリニックは、ほぼほぼ知る人ぞ知るって感じだったけど、今はこうしてワクチン接種会場として地元にわずかながらでも貢献できている…  生まれ育った土地の有効活用、築50年のぼろやに御父一人置いとくわけにもいかないし…なんて思いからはじめて3年経過…そういえば先週はワクチンうちにきた奥さんの同伴のご主人が、草むしりしていた御父と一緒に草むしり…ありがたいけど微笑ましい光景もあったっけ…  

「地域に根ずいてその時、提供できる医療を地域のために…」 その初心を心の底に持ち続ければ進む方向は見えてくるのではないか… 限界超える発熱対応に「自分のやりたい仕事=本業 と今やってる仕事が違う!」 はたまた、「なんで私だけが…」「でももっと私より大変な先生もいるんだから…」その気持ちのせめぎ合い… なんて自問自答の数週間だったが、きのうふと、「3年経過…石の上にも三年を終えた」 と思って想いをはせていたら、なんだか気持ちのもちようが見えてきた気がする。今はちょこっとやりたい仕事とは違ってもそれが求められてのことなら一時、やりたいことは封印して…それで、ふた開けたとき常連さんや本業絡みの患者さんがいなくなっちゃったら、またこつこつ積み重ねていけばいい。

「規模の問題はあるにせよ、このクリニックが今求められていることを大事にしていこう。どんな状況でもやれる仕事をしっかり。ついて来てくれる患者さんを大事に」 スタッフと自分の健康は考えながら…って。

最後に御父のアドバイスもあったので。3年経過のはなむけになるのかな? いつも患者さんには「ボケボケ爺さん」とか言ってからかってる風に語っているけど、昨日、石の上にも三年…経過したんだよねって話と「でも最近は気持ちが伝わらなかったり、よかれと思ってワクチンキャンセル枠に入れてあげようと思って案内したら、なんでオタクの都合に合わせなきゃいけないんだ!ってありえない文句言われたよ」 ってぼやいた。 御父 「いろんな対応迫られるってのはそれだけおおきくなったんだよ。大きくなりゃ当然敵も増える。味方も増えるだろうけど。成長してるってこと。くよくよすんな」 だって。石の上にも三年ならぬ同居して3年(余)環境変化にもなんとか適応してくれて、無事経過。こちらもやれやれ。大事な草むしり部隊と同時に、なんだかんだ落ち込んだ私のご意見番。亀の甲より歳の功…か。

敵が増える成長なら…もういいんだけど。体は衰え、メンタル強くなっても…ねえ。

 

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