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少し苦い話 ~内科でもPSA~

[2020.09.13]

今日は夕方から当直もあるし、月に2回くらいは休みたいな…わがまま言わせてもらい今日はクリニックの日曜診療休みにしました。10月からは予防接種とかもあるからそうもいかないから。今のうち。すみません。遅めに起きて、ちょっとしてからジョギング。駒沢公園、混んでる…ジョギングやウォーキングはもちろんだけど、スポーツの秋到来…とばかりにリトルリーグ?の大会やら、テニストーナメント、そのギャラリー…完全に「密」だわ。人気のないとこ見つけては黙々と。ルーチンコース外れて別の出口から大通りへ。花屋さんや(欲しい植木見つけてしまった)趣味のよさそうな洋服屋さん、(結局今年一度も開催してないけど)友人と行きたいお食事所…近所でも、目先を変えれば新たな発見…

今日は日常のクリニックでの外来で肝に銘じた、少し苦いお話を。

とある男性患者さん。近所ということで普段は検診とかでうちを利用するくらい。常連さんではない。昨年、心臓疾患患っていたらしく、精査加療は大病院で一通り行い、いまは投薬フォローとなり、地元クリニックということでの投薬希望で、6月末だったかな?久しぶりにいらした。「そんなことがあったんですか…」なんて話ながら、久しぶりということで採血。

結果を見ると、他は想定内だけど「ALP」だけが上がってる。通常の1.5倍くらい。胆肝系や骨でも上昇するけど、この方の胆肝機能を示す他の数値は正常…骨折の覚えも無し。「そういえば甲状腺でもあがる。この方は甲状腺でずっと前から別の医療機関行ってたっけ…」と思いだし、本人にも「甲状腺の先生のところのデータとも比較してね」なんていいながら、また今度上がっていたら、画像も含めて精査かな… 私の専門が腹部のせいか、腹部に頭がいっていた。

その後、その患者さん、甲状腺の先生にもびっくりされて(あちらではさらに上昇)結論から言うと腫瘍マーカーを、数種類測定しPSAが異常高値。すぐさま泌尿器科へ紹介となり。前立腺。

先日薬取りにいらした時の話を聞くかぎりでは、これから精密検査と。本人はいたって「何の症状もないんだけど。骨、骨って言われると何だかこの辺が痛いような気がして来るよ…」なんて言いながら大腿のあたりをさすっている。前立腺…骨転移は大丈夫か…大難が少難であることを祈りたい。

こんな一連のいきさつで、私も考えた。昨年の検診…府中市の検診にPSAはついてない…でも、私の経験では、他の区市町村の検診業務もバイトしてきたが、オプションで数百円自己負担すれば測定できたり、人間ドックでは福利厚生達者な企業の受診者は、50歳以上の男性にはもれなく追加項目に入ってる。こういう経験があるのだから、普通に検診だけ受けに来た彼にも「自費でも2000~3000円くらいだから測定しましょうか?」くらいのアナウンスはしても良かったのかもしれない。昨年ならば、あそこまでは上昇してなかったのかもしれないし。まさか、その後、受診することになった循環器じゃ、測定するわけないしね。あくまでもこのへんは町の小さなクリニックのお仕事かも。

われら、内視鏡医が「ひや」とする内視鏡の見落としとか、決定的な苦い経験とは行かないまでも、「私にも、も少しなにかできたのに…」の経験…

で、クリニック休みにした今日は、せめてブログでPSAの勉強をみんなでしましょう。女性は旦那のためにね。

PSAは前立腺から出る物質で、高いからといって癌とは限らない。前立腺肥大や前立腺炎でも上昇することがある。前立腺癌自体は50歳から急増する(私も年齢別グラフ見て驚いた!)食生活の欧米化にともない、日本でも罹患率自体上昇している。因みにアメリカでは前立腺癌が罹患率1位で、死亡率は2位の癌とのこと。

進行がはやいがんではないから、早期発見が大切で、PSA高値など検診で見つかる60%は早期。だけど自覚症状あって受診して見つかるケースは40%くらいが既に骨などに転移しているケースだとのこと。実際、栗の実くらいの前立腺の中心に尿道が貫いているから、そこに浸潤して来ないと症状がでずらいし、癌自体は前立腺の外腺にできやすいということだったような(これは学生時代に泌尿器で習った知識ですが…)

でPSAの値は年齢別に基準値が異なっていて、泌尿器学会によると、64歳以下は基準値3以下。65歳から69歳は基準値3.5以下。70歳以上は4以下。どの年齢も測定した値が1以下なら3年に一回の検査でよい。1から基準値までは1年に1回の検査。基準値以上なら泌尿器受診となる。4前後で30分%に癌が見つかると言うデータもあるみたいだけど、10以上で、生検が検討される。この検査もリスクがないわけではないから、そこは専門医が画像検査なども含めて慎重に適応を決める。また。4~10の悩ましい値については、やはり専門医がfreePSAとTotal PSAの%で経過を見ていきます。freePSAがTotalPSAにどのくらいあるか。freePSAが少ないほど癌の可能性がたかく、10%未満は癌の可能性が高いとのこと。

ざっとこんな感じです。血液採取でわかるPSA。自己負担でも、アレルギーの48項目を保険適応で花粉症の患者さんがやるより安価なのだから、この際、「市の検診だけやれば大丈夫」と思っている男性患者さんには話だけはしてみようかな?苦い経験を踏まえてね…統計学的な数値を改めて勉強してみて、いささかびっくり。うちも、以前は「女性外来 ちほクリニック」っていっそ名称変更しちまおうか…って思うほど女性が多かったけど、最近は時には「ここは床屋?」って思うような待合室風景もあるからね。

今日はここまで。これから往診バイト。勉強になります。

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