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患者さんからの質問 天然痘ワクチン打てますか? 

[2022.05.29]

今日は第五日曜で休診日。引っ越してはや一ヶ月。外は朝から快晴。完全に片付いているわけではないけれど、ここのところずっと隙間時間含めて何かしら「やらなくちゃ」にしばられて、あくせく… 今日もほんとは朝から片付けノルマはあったけど、真っ青な空見てたら走りたくなり…探検しながら走りました。新しいジョギングコースも確定! こうして、少しずつ新しい土地での生活に馴染んできつつあるようです。

クリニックはコロナや発熱問い合わせは減り、通常にすっかり戻りつつあるようです。6月からは市の胃カメラ検診がはじまり、そうこうしているうちに中旬以降はコロナワクチン4回目がはじまり…そういう意味ではイベント無しの静かな時期なのでしょう。

そんななか、いつもクリニックへいらっしゃる患者さんのお嬢さん(クリニックへもいらしたことある)が、今秋、スペインへ語学留学なさるとか。地中海方面大好きな私としては「ちっちゃくなって鞄に入ってついていきたい!いいなあ…」が開口一番のリアクションだったんだけど…  話は「さる痘」の話へ。メディアでも報道されているから、皆さんご存知かもしれませんが、コロナパンデミック経験したばかりだから、ちょっと気になりますよね。それに、急性期の皮疹からは、ちょっとびっくりしてしまうかも。コロナのつぎはこれ?見たいに。でも、パンデミックになるような心配はないから。慌てないように。以下国立感染症研究所の記載記事を要約します。

  • 2022年5月以降、欧米を中心に、これまでサル痘の流行が報告されてきたアフリカ大陸の国々への渡航歴のないサル痘患者が相次いで報告されており、アフリカの流行地以外での同時多発は前例のないことで調査が進められている。
  • サル痘はヒトからヒトに容易に伝播するものではない。感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露、感染者が使用した寝具等の媒介物により伝播する。現時点の一連の報告では、感染者にみられた病変の部位などから性的接触に伴う伝播があった可能性も示唆されているが、詳細な感染経路は調査中である。
  • サル痘は多くは自然軽快するが、小児や妊婦、免疫不全者で重症となる場合がある。
  • 5月24日現在、日本国内においてサル痘の報告はなく、大規模に市中に拡大する可能性は低く、日常生活における感染リスクは低い。ただし、今後国内でも感染者が出る可能性はあり、検査診断を含めた対応について整備しておく必要がある。

サル痘について

サル痘は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2−4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。

感染源 感染経路

サル痘ウイルスの動物からヒトへの感染経路は、感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触による感染が確認されている。自然界ではげっ歯類が宿主と考えられているが、自然界におけるサイクルは現時点では不明である。
 ヒトからヒトへの感染は稀であるが、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があり(Aaron TF. 2005, Aisling V. 2020)、患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられている。

流行地

サル痘は1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)で初めて報告されて以降、アフリカ中央部から西部にかけて主に発生してきた。

2022年4月24日現在、アフリカ大陸では中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ナイジェリアで発生が持続しており、特にコンゴ民主共和国では2022年1月以降1,152例の患者と55例の死亡例が報告されている(WHO AFRO, 2022)。

一方、アフリカ以外でも、過去に流行地域からの帰国者で散発的に発生報告が見られていた。2018年の英国からの報告では、ナイジェリアからの帰国者2例と、患者に対応した医療従事者1例が報告され、患者の使用したリネン類からの感染が疑われている(UK HSA, 2022)。日本国内では感染症発生動向調査において、集計の開始された2003年以降、輸入例を含めサル痘患者の報告はない。2022年5月、海外渡航歴のないサル痘患者が英国より報告され、また、欧州、米国でも患者の報告が相次いでおり、同時多発例の前例がないことから、調査が進められれている。

臨床像

サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされる(WHO, 2021)。潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がる。初期は平坦であるが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2~4週間で治癒する(写真2)。発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあるが、特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがある。リンパ節腫脹を呈する頻度が高く、類似した皮膚病変を示す天然痘との鑑別に有用とされる(Andrea M. 2014)。

致命率は0~11%と報告され(Skelenovska N, 2018)、特に小児において高い傾向にある(Jezek Z, 1987)。ただし、先進国では死亡例は報告されていない。

治療法

対症療法が行われる。一部の抗ウイルス薬について、in vitroおよび動物実験での活性が証明されており、サル痘の治療に利用できる可能性がある。

予防法

家庭、市中における感染対策について

発熱、皮疹がありサル痘が疑われる場合、マスク着用を行い、咳エチケットを守り、手指衛生を行う。また、患者が使用したリネン類から感染した報告があることから、使用したリネン類や衣類は手袋などを着用して直接的な接触を避け、密閉できる袋に入れて洗濯などを行い、その後手洗いを行う。

ワクチンについて

天然痘のワクチンである痘そうワクチンがサル痘予防にも有効。

ここまでは、一般知識として、引用させていただきました。 で、患者さんとの会話の続き。「この先、スペインとかで患者さん増えたら狂犬病や肝炎みたいに流行地に渡航する際のワクチンは打てるのかしら?」 私はこの質問にさっぱり答えられず。 宿題と患者さんにはお伝えしました。で、宿題の回答は以下。

現在、一般医療現場でさる痘に有効な水痘ワクチンの接種は不可能です。数社の卸し会社に聞きましたが、年配の担当者も「取引歴無し」。それもそのはず、国がバイオテロ対策で備蓄しているワクチンはありますが、個人輸入でも海外からしない限りは日本国内には出回ってない。ただ、水痘が世界から撲滅された宣言の出たのが1980年。日本は1951年、昭和31年以降以降,、発生件数なく、1976年で「種痘」と言われるワクチン定期接種は中止となりました。昭和51年に6歳だった人くらいまで2回接種して終生免疫ができているのだそう。たとえその近辺生まれでp一回しか接種してなくても、2006年の文献では、抗体は2回接種と同じくらい保有していたとか。それ以降の生まれの人は接種歴はないけど…  だから留学の彼女は、当然抗体はないけど、上記状況の疾患だから今のところ慌てなくて大丈夫と考えていいようです。因みに…私は49年以前生まれなので、バッチリ梅干しみたいな丸ーい痕が右肩にありましたよ。皆さんも探してみてくださいね。すっかり忘れてたけど、あっあったあった…てなぐあい。

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