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認知症予防の聴力

[2023.03.12]

大地の躍動を感じるこの一週間。芽吹く草木は勢いを増し、来週の今頃は本当に桜が咲きそう…。昨日は3.11。ちょうど干支が一巡り。ちょうどその年の年末に母が他界したから、震災の報道とその事実が絶えず重なっていた。こまごました記憶が蘇り、震災報道のたびメソメソしたときもあったけど、時空は最良の薬…。時間の経過とともに段々ぼんやりしていく記憶…。前へ進むためにはきっとそれが良いのだろう…。しかし震災の記憶は後世のためにもそれでは困る。薄れて良いものと、それはならぬ記憶…いつもこの時期複雑な想いにかられる。

ところで、今年の花粉症は! 今日も昨日も「今年デビュー」「昨年のじゃダメ」「もっとなんとかして~」 キャーっとばかり悲鳴モードの患者さんが多い。こちらも症状に合わせてあれこれ工夫。でも、まだ推定の半分も飛んでないとか…私も自転車乗りながらくしゃみ3連発はほぼ日課の今日この頃。

今日は日記帳がわりのこのblog、久しぶりに自身の身の回りの出来事を書き連ねつつ、老化のことを。来週と2回に分けて。  私は常々「首から上の機能の維持は認知症予防のポイント」って思っている。「見えないっていうのをそのままにしていたら、新聞読むのも億劫がってそのうち弱っちゃった」とか、「入れ歯が合わなくて、ミキサー食にしていたら認知症が進行…」そんな高齢者のお話、家族や友人からも聞く。来月91歳になる、わが御父にいたっても、昨年も主治医の眼科医から白内障手術の話しがでれば間髪入れずに手術。おかげで霞んでいた新聞も今は隅々まで(読んでたといって実は紙面とガチンコうたた寝だが…)読んでいるよう。何とか感覚器の機能維持につとめてはいる。 でも、大問題は耳。「ちゃんと聞こえているから大丈夫」と、ずいぶん前に購入した補聴器もつけてくれようとしない。生活音が勝ってしまいかえって聞きにくいと言い訳。自分が聞きたい情報さえわかれば、あとはどうでもよい…そういう兆候がいっそう進んでいるのは一緒に生活していてよくわかる。私達なら、テレビを聞いていても周りの喋る声に反応できるが、父の場合、興味のある方の音を拾うのに必死で周りの音は耳にはいっていないよう。挙げ句こちらが一生懸命しゃべって、、反応ないから「聞いてた?」尋ねれば「あんたのはなしは、どうでもいいこと多いから…」なんて、むかつくことを平気で言う。いつぞやは、ほんとに頭に来て3日くらい無視したこともあったっけ。本人は冗談のつもりでも、こちらにすれば失礼な言い訳。いずれにせよこれじゃ、興味の対象がどんどん狭くなってしまい、認知症も進んでしまう…。私が実感していた「感覚器と認知症の関係」については、2017年ロンドンで開催の「ランセット国際委員会」で「予防可能な要因のなかで難聴が認知症の最も大きな危険因子」とまで表明されているではないか! 診療で疲れて帰宅して、そこでもっと大きな声で老人の父のお世話に私も疲労困憊。同居の条件が「補聴器着用」だったがそれもいつのまにか反古。言うなら今!とばかりに「私もコミュニケーション取るのが大変なの。補聴器か老人ホーム行きかどっちかにして!」2択を迫った。 で、やっとのことで補聴器屋に行くとこまでこぎつけた。 「補聴器あるからこれでいいよ」 どうせ、つけもしない、物に埋もれた補聴器を出してきたけど却下。 「昔のより今の方が性能もすすんでいるから…」 不承不承でも応じさせた。  で、実際のところ、父のは10年近く前のものだったみたい。購入履歴がのこっていた。もうそんなに経っていたのね。こうなると、湿気などの影響で内部も錆び付いたりしていて、補聴器としての役目を果たす以前に、耳障りな音まで拾ってしまうとのこと。なるほどいやがる訳ね…。メンテナンスのことなんかも聞いてないのか、買いっぱなしだったものね…。 で、一週間お試しを借りて使ってみたが、万ざらでもなかったみたい。しめしめ…。「いろんなとこから音がするね」なんて高尚なことまでのたまう。 こうして、購入へとこぎつけた。やれやれ…。  さてこの先がちょっと私も不勉強で未知だった新情報。 「買ってめでたし」ではない。その先が大事。 加齢による難聴の場合、耳からはいる情報が少ないことに脳がなれてしまっている。だからいきなり補聴器をつけると、私たちには当たり前の音が「うるさい余計な音」と感じてしまうらしい。デモのときに父が「いろんなとこから音がするね」 一瞬ならのんきにそんな感じだったのが、絶えずとなると苦痛で耳障りとなるらしい。3ヶ月くらいかけてゆっくり難聴になれた脳を元に戻す訓練が必要なんだとか。購入先でスタッフも対応してくれるらしいが、主人公は本人。初めの一ヶ月が踏ん張り所。まあ、私たちが遮音もせずに工事現場に朝から晩までいるようなものだと想像すれば、程度によるが、やはり、購入の先のこのトレーニングが大事。「高い山も一歩ずつ…」なんてパンフレットにも書いてあったから、大変なんでしょう。大切なのは嫌がってはずさない、朝から晩まで装着することだそう。こうしたトレーニングで初めはうるさかったキッチンからの水を流す音や食器の触れる音にもなれ、そのうちに以前の自分のテレビのボリュームがうるさく感じてくればしめたもの。そのうちに以前の「音がたくさん入ることに対応できる脳」 となれば、他人との会話も、以前は口を動かしている人に合図値を打つくらいしかできなかったのが、その会話に参加でき、会話することへの意欲も沸いて来るはず。なるほど聴力維持は認知症の進行の予防できうる手段の一つな訳ね。 そしてもう一つ、同居する家族へのアドバイスは私にとっては聞こえないんじゃなくて「耳が痛い!」はなし。 補聴器をつけたならば、必要以上に大きな声でもはや話しかける必要はなく、「ゆっくりとていねいに」ですって! 「出しっぱなし、つけっぱなし、開けっ放し 電気代もったいないよ~」 興奮して畳みかける帰宅してすぐの「っつたく~もう!!」 を回転数おそくなんてできないよ~

 

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