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同居かホームか…プライベートな備忘録

[2021.11.14]

週末は好天続き。「紅葉見に行って来ました」「週末は山に登って…」昨年は「go  to」にも慎重対応で我慢を続けていた患者さん達も、さすがに今年の秋はあちこち紅葉狩りへと繰り出している様子… クリニックも今週は淡々と、大きな変化もなくインフルエンザワクチン接種と府中市検診、今時期の鼻風邪や腹痛、「検診異常指摘」での胃カメラ検査…一週間もあっという間に流れていく。毎週更新のblogも最近は医学ネタが続いたので「たまには私的日記」の意味合いで今週は綴っておこう。将来「あの時はこんなこと考え結論したんだ」って思い起こせるように。

私は今、往復3時間かけて自転車通勤をしている。電車でも若干速いながらも駅までの徒歩や乗り換え、なんだかんだで大体同じくらいかかる。 開業三年目となると、当初と少しずつ様相も異なり。雑務含めて仕事量も増加。学生時代は、今の住まい近くにある高校まで、今のクリニックのある自宅から通学していたわけだから、開業当初は「学生時代とは逆方向への「通勤のストレス」は、あまり考慮していなかった。が…徐々に…特にこの夏の「第5波」での合宿さながらの体力勝負以降、「このままじゃいずれたちいかなくなる」と考えるようになった。さりとて、クリニックに宿泊…。何度か、仕事が終わらず帰宅にも遅すぎるとき、泊まったこともあるが、不思議なもので私の場合、プライベートと仕事場は切り離さないとうまくやってけないようだ。クリニックに宿泊した翌日は当直開けのような、変な疲れが貯まっている。「もう少しクリニック近くに引っ越し…自分の息抜きの居住空間確保なら、せめて往復1時間の距離。近すぎてもダメ。2時間時間に余裕あれば、その分睡眠時間に当てられる…」 そう考えるように。 私も年齢が増せばいずれ野沢からは通えなくなるのはわかっていた。「同居の父が他界したら考えよう…」 89歳の父…。実家を取り壊してクリニックに仕立てると決まってからの私との同居。彼此4,5年経つ。環境変化で認知症が進むのではとの心配もよそに、ここを拠点に自分なりの生活で、すっかり馴染んでいる。しかし引っ越すとなると、この父を私の都合で振り回すことになってしまう。開業のための同居は父も納得だったが、今回は私の自己都合。父を振り回すことは嫌なので、通勤も今まで頑張ってきたが、そろそろ生活を見直さねばならなくなった今、父をどうするか…見知らぬ土地での新たな生活を強いられれば、今度こそ環境変化についてけないかも…「老人ホーム…」 実はちょっと前から視野には入っていた、クリニックから5分ほどの距離にある施設。調べれば、空き室ありと。見知らぬ土地より、自分が生活してきた土地の地続きに戻る方が私との引越先での生活より、父にとって環境変化は少ないのでは? (常連の患者さんは見かけた方も多いはずだが)父の、クリニック庭や外回りのお手伝いも、今より頻繁に来られるし、第一、今はuber eatsさながらの父の食事調達から始まる世話からも私は解放され、そのかわり目と鼻の先の施設へ、昼休みに面会へも簡単に行くことができる。 まさしくうってつけ! 先週、妹と父で施設見学。 出入りの自由度もあり、施設のリクリエーションをはじめ、周りの入居者に対する目も行き届いているようだ。空室の部屋も雑木林に面した環境よい部屋だそう。残り1室で満室。残務行いながらクリニックで待つ私の「どうだった?」の問いに好感触の答え。妹は私の体を第一に考えてるようで、「おとうちゃま、あそこに入ってもらったら安心だし、おねえちゃまも楽だよ」と乗る気。父も「あそこにいこうかな?」 ぽつりと言った。 瞬間…なぜかそこには「ああよかった!これでひとつ懸案事項解決」 とスッキリ言えない自分がいた。恋人にフラれたのとも違う、なんかぽっかり心に穴が空いた気分。その日残務を終え、冷えた空気の中、自転車走らせながら考えたこと…。同居しながら世話をしているなんて、聞こえはいいけど、実は私の方が依存度が高かったのではないか…開業初めて色々不安なとき、コロナ渦でこの先どうなるのだろうと不安なとき、家族がいてくれたことが、どれだけ心のよりどころになっていたか…時にはクリニックで思うように行かなくてイライラしていても、とりあえず「おかえり~」明るく出迎えてくれる父にどれだけ癒されたか。その先「出しっぱなし、開けっ放し、つけっぱなし~」がみがみ言われるシナリオができあがってるにもかかわらず…。この先、いずれ父が亡くなるとき、同居で一緒にいるより、少し距離を置いていたほうが、喪失感の心の穴が小さくて済むのではないだろうか… 妹は妹で私の体を気遣う一方、昼間に父が一人きりでいることを心配して、ホーム行きがよいのではとも。ダンスや体操教室などの父なりの予定がない日は、私が帰宅するまでずっと一人。新聞読んでたとは言っても、読みながらもうつらうつら…。たまに私が休みの日、見ているとそんな感じ。刺激を与えるためには、日中も人の目が行き届いている施設の方が、父の認知症の食い止めにはよいのではないか…。夜空を仰げば、白い雲が長く帯のような青黒い空。不思議な空の光景の彼方から、母から正しい方向を導く声でも聞こえて来ないかしら…  その夜、帰宅すると「やっぱりあんたと一緒に行動する。たくさん人もいるとこに突然行ってなじめるかどうかわからんし…なるべくあんたに迷惑かからんようにするからさっ」 その一言に、何だかほっとした自分がいた。 一方で、本人はそうは言っても、このままほんとに知らない土地(とはいっても方角的には実家に近いわけだから全く土地勘がないわけではないが)で馴染めるのだろうか…齢90となるわけだし。相談すればするほど、誰のアドバイスももっともで迷う。 そこで父のケアマネージャーさんに相談。その方によると、父に会うたび、段々弱って来ている印象と。動作もゆっくりになってきて。日中一人でいることは刺激もなく、やはり父にとって良くないことだから、誰かの目があった方がよいことは確か。そのためにも今がホームにいくよいタイミングなのでは?と。父は真面目だから、今までできたことができなくなっていることがわかると、落ち込んで鬱っぽくもなってしまうから、たえず周りの目があった方がよいのでは? お嬢さんもお父様と距離を置いてもよいかもしれない…いよいよとなるまで介護だと徹底的にお父様が嫌いになってしまうのでは? それで施設に…というと、途中で放り出した感で家族の気持ちも今より後味悪くなるかも…と。一方で、お父様は二言目には「娘の役にたちたい」とか「迷惑かからんようにせにゃいかん」と、お嬢さんが、お父様の生きることへのモチベーションになっていることも確か…と。様々なケースを目の当たりにしている人の意見でも、どちらとも言えない…という感じ。「あとはタイミングですよね…」とにかく今、動いて置くことは大事だから、私もその翌日に例の施設に見学に行くことを伝えると、行ってよく見て検討してほしい…とのアドバイスだった。 で、昨日、クリニック診療終了後行ってきた。案の定…迷う。残りひとへや、とりあえず入居して、出入り自由なら、うちと、施設と当分行き来して、徐々になれて行くのもよいのでは? あと2日,答え出すまで施設には待ってもらって、昨晩もう一度父に聞いてみた。「今はやっぱりやめとく」って。 で、実際に私が引っ越すとき新居が気に入らなかったら、その時もう一度検討する…ということで話はまとまった。今回は、まだ自分の意思がはっきりしている父の希望を第一優先に進めることにした。新居が決まったタイミング、或はその先でも、目と鼻の先のこの施設には今後世話になる可能性大だから、丁重にお断りしながらも、今後も宜しくお願いしますと、なんとも変なご挨拶をしてきた次第…。 今は年末まで検診もあるしバタバタだから、年あけて、物件探し… 通勤ストレスなくなれば、残務終えても家へ、今より早く帰宅できるし、父にとってもよいかもしれない。 ああ、どうか計画の妨げとなるような第6波、来ませんように。

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