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高齢者の便秘

[2024.04.07]

満開宣言がでたけど‥何だか今年は「わーきれい」って鑑賞、まだできてない残念な週末。晴れても先週日曜日はまだちらほらだったし、やっと咲きだしたところが曇天、花曇り。寒さのせいか、何だかくすんで見えてしまう。やはり桜には真っ青な空が似合うもの。やっと今日になり晴れた! 折しも我がクリニックの入り口のミモザも満開に。やはり太陽の明るい光により映える。

 3月末から最近にかけて、世間は年度末や新年度で何となく慌ただしい。そのせいか、クリニックは坦々と‥というか、閑散期。幸いにもここのところ、インフル、コロナも落ち着いてきたし、余計に静かな外来‥。若者はじめとした社会人が病院通いする暇ないのか、気がつくと、特に平日は高齢者の診察が多い。「老年科」って訳じゃないけど‥そのためか、最近何だかやたらと高齢者の便秘症状と対峙しているような気がする。 今更ながら高齢者の便秘を話題に。先日昼休み時に聞いたWebセミナーも高齢者の便秘がテーマだったし。

年取ると便秘はある意味当たり前。腸管の加齢性の変化が原因のひとつでもあるから。腸管の粘膜筋層の萎縮や繊維化が起きてくる。早い話が顔だってシワや弛みが起きるのと同じ。いつまでも若さは維持できないのよ‥。弾性が低下すれば便秘も起きやすい。加えて蠕動に関わる神経そうの機能低下も。 ラットの実験で二才の老ラットと若いラットで比較すると老ラットのほうがビーズの排出が遅れ、解剖すると腸の筋肉や神経そうの減少が見られたそうだ。 それ以外にも高齢者は基礎疾患、例えば糖尿やバーキンソン、甲状腺疾患など、他疾患の合併症で便秘も来しやすかったり、服用する薬の副作用でペンピしていることも。  肌のシワや弛みが抗えない老化であると同じようにベースに腸管の老化があるのなら、もはや抗えない‥。じゃ、せめても生活の質の改善目的が治療のゴール‥と考えがちで、死と直結することはないかと思われるが、決してそうではない。腸管老化はあれど毎日排便ある老人と4日に1回程度のペースの老人と比較すると脳卒中や心血管障害の罹患率が2~3倍増加するとか。便秘下でのいきみで上昇した血圧は60分くらい上昇したまま。冬の朝、排便前後での救急要請が多いこともこの結果を裏付ける。何人も可能なかぎり、スムースな排便を心がけたい。

改善策‥ 浸透圧下剤に頼るのもやむを得ないけど、便秘治療のガイドラインでは、それと同等レベルでプロバイオティクス、いわゆる整腸剤の投与もあげられている。何種類かあるので自分にどれが合うかは2週間は継続してみる必要があるようだ。劇的な改善とまでいかなくても、「服薬したほうがしないよりいいかな?」 くらいでもよい。あとは生活習慣でのアドバイスになる。月並みなアドバイスだけど食事分と合わせて2L水分をとるとか、排便時に座ったとき前屈みになると直腸肛門角が真っ直ぐになり良い。また、1日に17g以上の食物繊維摂取のために1日の食事のなかに小皿4つ分。春菊のごま和え、カボチャの煮物、キンピラ、切り干し、ひじきやウズラマメ、コンビニでも手に入るような副菜、1日に4皿目安で食べることを心がけて。 運動も勿論。可能なら週に三回くらい1回1時間くらいの軽い運動も、効果あり。  あまり大した情報もないblogだけど、消化器内科ですから。新年度はこんな話題からね。

さっき撮影。入り口から。「こんにちは」って言われてるみたい! 患者さんが話してくれた。なんか素敵な言葉を頂いた気分

 

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