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低いとどう? 低尿酸血症

[2023.01.22]

寒いですね…で挨拶が始まるここ、数日。これから一週間が寒さも正念場。日中の陽射しの力強さに春の気配も感じられなくもない。要は北風と太陽、どちらが勝つかで今はその日の体感がかわる、そんな感じ。太陽強けりゃ背中がぬくぬく。北風に軍配上がれば、顔も凍るよう…。  そんなここ最近、 コロナの5類相当の話もされている中、クリニックの発熱問い合わせも、ここのところ、おちついてきている。インフルエンザもぽつぽつ出ているから、最近は高齢者優先ではなく、症状出現時期を聞いてから、予約をとるようにしているけど、「さっき熱出た!」との問い合わせが多いことには若干閉口…。そんな早くじゃコロナもインフルも検査したって偽陰性の可能性もある。せめて半日は時間あけて欲しいなあ。検査して、陰性だから大丈夫!って言えないから医師のほうも判断に迷う。 今日も周りが休診のせいか、少なくなった電話問い合わせの中にも、さっきから発熱…問い合わせが多い感じでした。

さて、今日は早速、本題。昨年の検診結果を持参して「異常値精査」で来院の患者さんの診察から思いついたことを。 高いと問題になる数値が低い時どうする?というはなし。今日は「低尿酸血症」について。普通は「メタボ疾患のひとつ」として高いと問題視される「尿酸」。今までも高尿酸についてはblogに書いてきたので今回は割愛。 そもそも尿酸値が低いことについては、あまり問題にはなってなかったのです。大きな病気に結び付くこともなく、そのため、低い人がいてもそのままとなっていたはず。けれど、昨今、検診等普及で、研究が進むにつれて、いろいろわかってきました。具体的には「2.0mg/dl」以下を低尿酸血症としてます。統計では日本では、男性0.2%、女性の0.4%にみられるとのこと。意外にいらっしゃるんですね…。薬剤や何か別の病気による低尿酸でなければ、「尿酸が体内で作れない」或は「尿酸を体内にプールできない」の病態があることがわかってきました。作れないほうは「キサンチン尿症」という、稀な先天的な遺伝子異常で、尿酸を作る酵素が不足していることが原因。 大多数の「低尿酸」の方は、腎臓での再吸収に問題があることが原因とわかってきました。尿酸は腎臓の一部で一旦、ほぼすべて濾過されたあとに、必要とされる分が再吸収されるようになっています。再吸収に必要な機能=トランスポーター(輸送体)にかかわる遺伝子異常により、ここで再吸収できないことで、じゃじゃ漏れとなり、低尿酸血症となってしまいます。実際は低尿酸でも、ほぼ症状はなく、治療の必要もないのですが、2点ほど注意点が。低尿酸血症の人が、激しい運動をすると時に「急性腎障害」を起こすことがあります。脱水や、消炎剤の内服などが重なると、よりおこりやすい。予後は良好だし、そもそも10%低どの人しか経験しないとのこと。 あと、もうひとつ。結石ができやすいこと。「低尿酸なのになぜ」と思う人もいるかもしれません。尿酸は肝臓で生成され、尿だけでなく、腸管からも排泄され、これら排泄を上回る量が体内にプールされている。そこのバランスの問題で、どうやら結石もできやすくなるようです。 いずれにしても「低尿酸値」人は、常日頃の水分を取りと、急な運動をする時に気をつけるのがよいかというのがポイントです。

で、余談ですが、腎臓のトランスポーターが働かず、じゃじゃ漏れなのが「低尿酸」の病態のひとつなら、これを逆手に「存在するトランズポーターを阻害して、わざとじゃじゃ漏れにする」 ことで、高い尿酸値を低くするべく、創薬されたものが「ユリス」という高尿酸の治療薬。うちでも処方している患者さん、何人かいます。  さらにはこの、尿酸再吸収に働くトランスポーター、内臓脂肪の影響で、作用が強まってしまうこともわかってきました。メタボで内臓脂肪がおおくなり、高尿酸になることには、こういうところも影響するようです。

次回も低い値の話題にしようとおもいます。 さてさて、一月末は寒波の月末? 体調管理、お互い気をつけましょう。 受験生がんばれ! うちに来た「今年受験で…」みーんな応援してます。 コロナ渦経験の学生せいかつだったはず。最後は奮闘して「桜咲く」。祈ってます。

 

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