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大腸憩室症と腹部膨満感

[2024.03.10]

あとに週間で桜咲くのかしら…3月になって、ひな祭り、啓蟄…日にちは過ぎれど、なぜか暖かさを感じない…相変わらずなんだか今年は風の強さを感じ、やたら大学時代を過ごした群馬のからっ風を脳裏を掠めることが多い今年の春先…  ここのところのクリニックはいつもの診療に加えて花粉症の方。昨年と同じのください~というようなシンプルな愁訴の方もいれば、花粉症もあるせいで、一度ひいたかぜが治りきらずにこじらせ…或は花粉の時期に、同時に現れる頭痛や消化器症状…こうなって来ると内科医の腕のみせどころ…そんな感じ。発熱者は強風や寒さは申し訳ないけど外で診療…あれからコロナが爆発的に増えることもなく、今のとこ、インフルエンザB型3に対してコロナ2 といった割合かな? 

さて、わがクリニックでも検査初めて2年となる大腸内視鏡… 私自身は消化器内科医となってさから携わっているから、見習い時期も含めればかれこれ30年近く画像を目にしている。先日も検査しながら漠然と「憩室症の人、多いな」と感じた。私が内視鏡やりはじめた頃よりは、確実に。先週なぞ、バイト先で6人検査した中、憩室持ちの人、5人。 今日はこの、憩室症について。

そもそも「憩室」とは、消化管の内くうがポケットみたいに外側に突出したもの。大腸だけではなく、食道から腸までどこにでもできうる。(ブラックジャックにメッケル憩室症を題材にした章あったような… ) 大腸憩室がなぜできるかといえば、いくつかの要因がある。維質が少ない食事,赤身肉が多い食事,座位時間の長い生活習慣,肥満,喫煙,抗炎症薬(NSAID),コルチコステロイド,オピオイドの使用など。その他に考えられることとして憩室は腸管内圧の上昇が原因である可能性があり,それにより腸管筋層の最も脆弱な部分(壁内血管に隣接する領域)から粘膜が突出するとされている。 こういった要因だから、高齢になるほど憩室持ちは多くなる。10~25%の人に見られるなんて書いてある書物もあるけど、ものによっては高齢者の4/5に存在すると書いてあるものも。 最近85歳過ぎた高齢者でも状況許せば普通に内視鏡検査を受ける時代だから、多分私の感覚通り、80%くらいの人が多かれ少なかれ持っていると言うのがほんとだと思う。 むしろ、「痔持ち」とおなじくらいメジャーなのかも。 この憩室…大腸に存在する数も大きさも個人差あり。一応、上行結腸やs状結腸多いとは正書に記載はあるけど、実際内視鏡やってるとそうでもない。大きさも本来の内くうとおなじくらい大きさで、検査をしているとき、どっちが本来進めるべきないくうだか迷うくらい大きな憩室もあれば、うんと小さくて送気しないと潰れてわからないくらいちいさなものまでイロイロ。 だいたいは無症状で、内視鏡やって偶然見つかるようなことがほとんど。症状として看過できないのは憩室炎や憩室出血。 憩室炎は袋小路の憩室に便塊等がはまりこむことなど繰り返すうちに炎症が起きて腹痛の原因になることも。 憩室出血は、(元々構造上腸管粘膜の弱いところに憩室はできるので)近くの血管が引き延ばされたり、脆弱になった血管から出血すること。 これらはメジャーな症状とされている。 さてここから本題。多少私見もあるけど、先日も多くの憩室持ちの患者さんの検査をしながら感じたんだけど、 「憩室症が慢性的な腹部膨満感の症状を起こすことが以外に多いのでは?」 ということ。 内視鏡やっていて、憩室炎をおなじところで繰り返したのか、周囲組織が繊維化を起こして固くなっていて時には癒着などして、ファイバー通過する際に、患者さん自体が痛がったり、実際内視鏡を挿入しにくいようなケース。 こういう人はおそらく日常生活でも、腸管ガスのたまりぐあいで腹満感につながることもあるだろう。そもそも憩室の成因からもわかるが、腸管の内圧により突出するのなら、憩室ができやすい人は、ガスだまりもおきやすいし、腹部膨満感も起きやすいだろう。 「憩室症」としての症状は憩室炎を起こしたときの腹痛、憩室出血等がメジャーな症状としてあげられているけど、「腹部膨満感」も症状としてはもっと明記してもよいのでは? 内視鏡しながら考えた…どっちがニワトリで卵だかわかんない感もあるが…   まあ、粗大病変有無の鑑別のためにも、しかるべき年齢になったら大腸内視鏡を!  ということが一番大事ですが!

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