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過敏性腸症候群の臨床研究 続報

[2021.09.26]

中秋の名月に朝晩のひんやり空気。たった2日間、自転車通勤しなかった間に、パット目にする街路樹や公園の色彩が違っている…深まる秋を感じる…誰かが「今年ももう100日きったのよ」 何て言ってたけど、あらら、もうそんな?     

たしかに…クリニック歳時記的にもここで「インフルエンザ予防接種お知らせ」しなきゃいけないタイミングですものね。 例年通り10月からはじめます。今年は生産量が3割減産だそうで、入手できる数も減るから、希望者全員に行き渡るかな? 心配もある一方、「マスク効果もあり去年インフルエンザ感染激減したことを受けて、接種しない人もいらっしゃる?」或は 「高齢者が去年と違って例年通りの有料化されるから、接種希望者減る?」 つまり需要も減る予想もあるから結局、混乱はしない?など色々予測はされるけど、ふた開けてみないとわからない状況… クリニックとしてはワクチンあるうちは予約受けますので、ホームページのお知らせ欄に電話予約時間を記載しますので、その時間にお電話お願いします。

さて、お知らせももうひとつ。表題のとおりのこと。「TAILOR-IBS study」~過敏性腸症候群患者を対象とした個別化サプリメント摂取による主観的重症度への効果の検証:オープンラベル非ランダム化単群試験~について。先日、具体的な進捗を担当の方からお話をいただきました。以前「臨床研究に手を挙げました!」 かれこれ半年くらい前のblogに書いたので、興味ある方はそこも読んでいただきたいのですが…  臨床研究は、いわゆる「治験」とは違う、研究的側面を持ち、ここで得られた情報が、将来の創薬に役だったり、同じ症状で苦しむ患者さんの治療の貴重な情報となったりします。なので、研究として公に認められるための諸手続きがあるわけで、今までコロナ渦もあり時間がかかってしまったけど、ようやく10月から参加希望する患者さんに説明、同意を得ることが許可されました。 期間は来年の4月30日まであります。研究参加前の3ヶ月は抗生剤や向精神薬、抗うつ剤を服用(頓服は除く)している方は参加できないので、逆に参加希望で、最近これら薬を飲んでしまった人も年明け以降にご連絡いただければよいかも(ただ、早いもの順で、登録人数に制限はあり) クリニックに「過敏性腸症候群」 として受診されている方の何人かにはお話もしていますが、新たに興味を持った方にも応じますので、前述の半年前のblogも参考にご連絡くださいね。 

研究の概要をもう一度簡単に述べると…  癌や炎症などの原因がないのに関わらず、いつも下痢や便秘などお腹の調子が悪いことに悩まされる「過敏性腸症候群」。 ストレスが原因の一つでもあるけれど、この病気に悩まされる患者さんの腸内細菌叢が健康な人のそれとは異なることが報告されている。じゃあ、その細菌叢を改善すれば症状も改善する? となりますよね。腸内細菌叢を改善するためのプロバイオテクス(人体によい影響を与える乳酸菌等の微生物)やプレバイオテクス(プロバイオテクスの栄養源となるオリゴ糖や食物繊維等)を、それぞれの腸に合わせて調合して摂取してもらって、その前後の自覚症状や便の状態を調べてみよう! というのが研究の概要。勿論個人情報は漏れぬよう、番号で登録。開始前に採便して便の性状を解析して、その結果に合わせて研究対象食品を3~5週飲んで、便の性状や臨床症状の状況を日記に記載していただきます。研究対象食品に含まれる成分は、日本でも安全性を確認されているものです。患者さんのメリットとして前述のように自分の便の性状や、症状が改善すれば、どういった物が自分に腸に合うのかがわかるということがあります。一方デメリットは、一般的にもあるように食物アレルギーや余計お腹が張っちゃった…なんてコトも起きえます(勿論その場合は途中で中止)。一定期間、毎日簡単な排便有無と性状の日記をつける手間もあります。研究へは協力していただくので料金はかかりません。なお対象の年齢は20歳~60歳ですが、持病の有無や基礎疾患、服薬している薬の内容により参加基準はあります。ざっとこんな感じですが、安全に研究を行っていくためにも開始前にきちんと説明します。  

過敏性腸症候群…消化器内科を標榜するわがクリニックにも老若男女問わず、また、季節的にな変動もあるけれど一定数いらっしゃる。そういう臨床を預かる医師として、私自身にとっても、この研究で得られた情報は今後の治療の一助として大きな収穫となると期待しています。

大きな収穫といえば…先日の中秋の名月…私は帰りの自転車を東に漕ぐこと1時間半…東の月から空高く上るまで月の軌跡堪能! 見ていると、東にいるときは赤くて、漕いでけば届きそうな近さ。まるで、まあるい友達みたい…でも上っていくにつれ、白くお化粧して、だんだん遠くなる…ため息出るほど綺麗、美しいけど、いつのまにかよそいきに。家近くなり、やれやれの安堵とこみあげる何となくの寂しさ。 「月に群雲、花に風…はかないもののたとえよ…」 亡くなる数ヶ月前、車椅子押す背後の私にぽつりと月を見上げてそう呟いた母を思い出した…。

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