メニュー

エクオールと関節痛

[2023.09.10]

陽は短くなり、夜風と虫の音に秋は感じつつも、日中の蒸し暑さときたら… 先週は出席求められているミーティングがあり、府中市検診も盛りの9月の木曜日を臨時休診に。終了後、まだ陽も高い時間に都心にいることもめったにない。暑いけど天気も良いのでそのままぶらぶら都心を散歩。神宮外苑をぶらついていたら、銀杏並木に。再開発に反対の声が上がっている現場だ。私も恥ずかしながら坂本龍一さんの訃報を機に、このあたりの再開発の問題や、反対運動のことを初めて知った。青山通りの西側のこのあたりの緑が好きで、かつては友人とぶらぶらしながら外苑前や表参道へ楽しく散歩しながらウインドウショッピングしたものだ。絵画館につうじる鬱蒼と茂る銀杏並木には、まだまだ蝉の声。数ヶ月後には金色に染まり、さらには点に突き刺すかの如くの凛とした幹が一直線に…。どの季節も絵になる、東京の遺産。歩きながら、この風景は唯一。変わるものなんてできっこない… おばあちゃんになってもこうして歩ける場所であることを願いつつあとにした。

さて、今日はエクオールの話の最終回。「更年期のホルモン変動と手の関節痛」について。 復習だけど、更年期の症状は、代表的なホットフラッシュやほてり、発汗のような自律神経症状から、肩こり、腰痛など、200くらいにも及び、それは身体のあちこちにエストロゲンレセプターがあり、更年期にエストロゲンが減ってくると、レセプターに結合できなくなり不調を来してしまうということは前回述べた通り。 このなかの症状で、更年期におこりやすい手指の痛みやしびれも、関節包や腱、靭帯に多くレセプターが存在するため、レセプターがエストロゲンの減少により満たされないことで諸々の症状がでてくるわけで、 肩こりや腰痛が整形外科で年のせいと言われたものが、婦人科でのホルモン補充療法やエクオール投与で改善したとの報告があることから注目されています。   ここで手の外科を専門にしている先生の報告も大塚製薬の資料にあったので紹介します。女性が手指の不調を訴えて病院を受診するの50歳前半が多いとのこと。でも実際に関節が変形しはじめるのは(リウマチではなく、指の第一、第二関節が変形したり痛むヘバーデン結節やブシャール結節などや腱鞘炎) 60歳台。このタイムラグが、今までは「年齢のせい」として、あきらめたり、対処療法しかしていなかったのだけど、タイムラグ時期にエストロゲンと似た作用を持つエクオールを投与することで、本来結合できなかったレセブターにも結合可能となる。更年期早い時期に症状を感じたときにエストロゲン様の作用を持つエクオールを補うことで数年後に起こり得る手指の関節の変形や痛みを予防できるようになると考えられているとのことです。 また、長期の二重盲検のようなデーターは存在しないけど、119例の手指にトラブルのある女性に3ヶ月エクオールを1日10mg服用してもらい、機能や痛みの改善を調べたところ、機能については63.9%が改善した、痛みについても間58.8%に改善を認めたとのこと。 こうした知見をふまえて、臨床医のあんちょことして、活用されている「2今日の治療指針」と言う、分厚い、多科にわたる手引き書の2020年度版、「ヘバーデン結節・変形性手関節症」には、代替療法として、エクオールが、紹介されています。

あと、追加ですが、エストロゲンには身体を守る作用のある一方で乳癌細胞を増殖させるリスクもあるのは既知。エクオールには今までの話のような「エストロゲン様効果」として受容体にはまり込む作用のほか、一方で「抗エストロゲン作用」として、エストロゲンより先にエクオールが受容体にはまり込むことで本来のエストロゲンの過剰な効果を弱める作用もあります。国立がん研究センターコホート研究では、大豆製品を食べる人ほど乳癌になりにくいという傾向が、特に閉経後の人に認められているという事実があります。

さて、3回に分けて、更年期を乗り切る一助としてのエクオールについて書いてみました。「大豆イソフラボン」と、何となく認識してはいたけど…という人にはちょっと役立つ情報だったと思います。 私は即効性は期待せずとも、乳癌のりすくもあるし、(最後に大きな声の独り言)いくつになっても、何となく女性としてのホルモンは残しておきたい… そんな気持ちもあり、気持ちの安定サプリとしても私流に服用しています。

このblogでエクオールについての興味を持った方の相談は、外来診療を受けている方については、診療内でご相談ください。

101_985

この日午前中に再開発反対のデモがあったみたい。そりゃそうだ。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME