開業医の立ち位置
暑い毎日、クリニックのある府中市が数日前に39度を記録したとか。その日の夕方のニュースに流れたらしく、翌日「府中市も何だか有名になっちゃったね。熊谷や伊勢崎みたい」って、何人かの患者さんが話してくれた。「でもなんで今頃?八王子とかの方が暑そうなのに‥」 私も不思議に思っていたら、どうも、府中の温度測定を場所を変えて、いつ頃からか農工大の畑の真ん中に置くようになったからとか‥。うそかほんとか、とにかくタクシーの運転手さん情報。昨日(土)、某製薬会社の薬の発売10周年を迎え、薬剤の適正使用再考の講演会聴きに行くのに乗車したタクシーの中での会話。 講演会は「軽症逆流性食道炎をどう治療するか」ということに、ガイドライン作成に携わる先生がデーターや各々の知見を踏まえて話されていた。結論から言えば、軽症たりとも、一発どかんと、発売10周年のその薬を使用して、効果あれば、斬減、その後中止してもよい‥みたいな話し。 強力な酸分泌抑制薬。良くなりゃだらだら使わなくて良いし、やめたからとすぐに症状が再発することもないみたい。 この件に関しては、ふだん私がやっていることで間違えなかったようでふむふむ という印象だったけど‥ 昨日から今日にかけて頭を駆け巡った今日のblogの題名、端はこの講演会に発している。 講演会の途中で、どういう人が参加しているか、手元のボタン操作で表示された構成を見たら6割以上が私のような、内視鏡を行っている消化器開業医だった。ひろーい、おそらく普段、プロ野球のドラフト会議やる会場で。全国から集まったとは言っていたが、そのくらい、普段自分がやっていることが正しいのかどうか、興味をもって聴講に来る人間がこんなにいるということ。 そして‥この講演に関しては、2つの製薬メーカーが絡んでいるに関わらず、私が自分の専門分野の薬剤についてなにか講演はないのか?と尋ねたから昨日の開催を知った。 そもそも別の薬の案内で来た担当者にこちらから聞いたから教えてくれたわけだし、片方のメーカーの担当者は自分が案内したい薬の説明には来るくせに、今回の講演のことはメールですら案内をしなかった。あれだけ開業医の先生が集まる会に危うく参加できないところだった‥。
開業をしていると、自分から外に目を向けていないと置いていかれる。大学病院や大病院の医局で机を並べていれば色々up to dateな情報が耳にはいってくるが開業しているとそういう機会はまずない。医師会主催の講義とかは貴重な勉強の場ではあるけれど‥。 おまけに、(よく、患者さんは新聞の切りぬきや週刊紙の記事をもってくるけど)、血圧にしろ、腎臓や、呼吸器に糖尿‥自分の専門外もこうした講義を聞いて、時代についていこうと情報を仕入れても、それを否定するようなネットや先の新聞や週刊紙の情報‥。その情報を流すのも医師だから、患者さんも信じたくなるのだろうが‥。
製薬会社の薬の情報、専門分野の先生の知見‥ 可能なかぎり、標準治療ができるように自分を保持しなければいけない。間違っていると思う情報にはきちんと理論的に説明できるように学をつけなければ。「あの先生は古い」なんていわるたくないもの。 きのうのひろーい会場にに来ていた先生もみんな同じ気持ちなのではないのかしら? 普段自分がやっていることはまわりと違ってないよね?って確かめたくて。 そりゃ、各科、各疾患、「ガイドライン」や、診断のフローチャートは存在するけど、いちいち本ひっくり返すより、そりゃ、耳学問よ!