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症例に学ぶ「大人のりんご病」

[2024.12.15]
12月15日。今日は今年最後の満月だとか。white moom‥。クリニックからの帰宅、玄関でて東の空を仰げば、柔らかい光を放つ満月が見えていた。 昼間も寒いけど、ここのところの朝晩の寒さと来たら!特に今年は急に来た感あり。というのも、この一週間の自転車通勤ですっかり指先の霜焼けは完成!それに、ここ数年、普通に爪を切っても指先が深爪したかのように、われるから、拷問級の痛さ!不潔っぽいけど、爪を切るのも怖い。数年来、この季節の悩みだ。 今日の外来も(日)のせいか、発熱での初診受診希望、いつも以上だったような。それに、インフルにコロナ多彩だった感あり。みんな、そこそこ高温発熱。検査しないと見分けはつかない感じ。 マスクや手洗いしても、こう増えるとかかってしまえは仕方ないかな? という気すらしてくる。   さて、こうした感染症に加え、溶連菌やノロ、少し前のマイコプラズマなど、市中に流布する感染は多くあれど、今日は患者さんから学んだ「大人のリンゴ病」のはなしを。 結果論で、答えわかってこのblog眺める方は臨場感薄いかもしれないが、当事者は大変勉強になったので、情報共有かたがた勉強しましょう。まず、症礼提示から。カンファ風に。 ほんの数週間前、40代女性が数日前からの手のこわばりを主訴に来院。むくみもかんじるとのこと。うちには数年前に受診歴あるくらい。 さかのぼること、その日より2週間くらい前に風邪症状で近医を受診したそう。たしかにお薬手帳には普通に処方される風邪投薬が並んでいる。暫くすると発疹が出現したらしく、彼女は皮膚科を受診。薬疹を疑われ、前医の投薬内容の服薬中止と抗アレルギー薬処方をうけた。その後暫くして、朝起きると包丁も握れないような手のこわばりが出てきた‥。次から次へ症状が出て怖くなり当院へ‥という経緯。 診たところの全身状態は、発熱もなく、感冒症状もなく、既に発疹も消失、悪くなさそう‥。神経症状もない。 発疹や手のこわばり‥その日だけでは何ともいえず、前医での採血歴がないとのことなので、採血だけ行い、数日後の再診とした。 再診時、手に力が入らず、足もむくみ、前回より症状は少々悪化。出た範囲での採血結果はリウマチ反応含めた炎症反応は、みな、正常。「うーん、なんだろ?なにかしらの、膠原病の走りかな?皮疹もでていたらしいし。待てば何か他の症状出るかも。あるいは、ウイルスが神経などにはいりこんで、一過性の症状かも‥」発熱や採血データーの異常がなく、緊急性はなさそう。そこで、彼女には風邪引いたりじんま疹が出たり、抵抗力弱っての一過性のことかもしれないから、あと一週間様子診て、変わらないようなら膠原病科など、専門医受診も考えましょう‥と、経過観察とした。   で、1週間後‥さあどうなってる? 診察室へ入ってきた彼女の方から、「よくなりました!で、りんご病だったみたい」「えっ?」想像しなかった展開に訳がわからず、彼女の話をそのまま聞いてみると‥。   彼女のお子さんがリンゴ病になったとか。で、以前にお子さんと彼女の家で一緒に遊んだお子さんの父兄から子供がリンゴ病だと連絡があったとか。つまり、その子供から彼女が先に感染し、次に彼女から自分の子供に感染した‥というながれ。 ネットで調べたら、まさに自分の症状は書いてある内容と一致するから多分それだったんだと。にっこり笑い教えてくれた。で、彼女から学んだ「大人のリンゴ病」について、以下にざっと要点概説します。 大人のリンゴ病  ヒトパルボウイルスB19が原因で伝染性紅斑ともいわれ、くしゃみや咳でうつる飛沫感染。潜伏期は数日から2週間くらい。ふつうの風邪症状から始まる。ポイントは子供と大人の症状は少し違っている。大人の方が子供より重症感があること、また、子供のように「ほっぺか赤くなる」という症状より、関節痛や手のこわばり、むくみなどが半数近く、女性に多くみられる。また、レース状の皮疹が関節痛に先だって現れることも。だから、膠原病と間違えることも多々あるとのこと。というのも、関節痛は足にも及び、時に歩けないほどの痛みとなることもあるから。たいていは、対処療法で一週間くらいでよくなり後遺症もないけど、関節痛がひどいと、感じなくなるまで数週間かかることも。また、不顕性感染で終わることも半数くらいあり。1度かかれば終生免疫が獲得されるから子供の頃にかかっていれば、心配なし。ただ、妊婦さんは流産のリスクとなるから感染には注意。 ざっとこんな感じです。はあ~勉強しました!私ももしや、膠原病の走りでは?と考えたくち。おまけに、「たいてい、自分の子から母がうつる」と、思考にバイアスもかかって、診断が遅れた感あり。今回はよその子供から、自分がさきに感染し、我が子にいったという流れだった。 まあ、結果論の自画自賛じゃないけど、薬疹が出たりもしているから、余計な治療はしないで様子を見よう‥と、なにもしなかったことが、良かったのかな?   彼女とも「一件落着。良かった!」で、終診となりました。 日々勉強‥。 ひとつひとつ学びながら経験をつんでいく。地道な作業ね。地道な作業は年内30日まで続きますよ!
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