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高齢者=あっという間の誤嚥性肺炎

[2023.06.11]

関東も梅雨入りした週末。どんより雨空だと、気持ちも沈みがちな今の時期、さらに沈んでしまう出来事が。このblogは日記だし、私が学んだことの情報提供、情報共有の場でもあるから、今回はこの一週間を振り返りながら…

ちほクリを知る人は、今日の題目だけでピンと来た方もおられるかもしれないけど、主人公は我が御父。4月に91歳になった私の父。つい最近は「補聴器」の話題で登場したかな?まあ、話せば長くなるけど、補聴器も、あの年になっての装着訓練は中々きついみたい。マニュアル本通りには中々行かず。食べてるときの咀嚼音が気になるようで、目を離すと両耳、穴ぼこ開いたまま…「脳がサボっちゃうじゃない!」「時にはあるわ~」「いつもじゃない!」バトルを繰り返していた。 まあ、そんな調子で悪びれもせず言い返すくらい元気で食欲もりもり、入れ歯も一本もないから、普通食、バリバリ食べていた。 ただ、昔の喫煙歴からの肺気腫があり、さらには年相応の嚥下機能低下のせいか、常日頃から咳はしていた。呼吸器ドクターからは吸入すすめられてもサボり気味…そんな調子。10日前にはクリニックの草むしりに来てくれたり、つい、この火曜(5日前)には、自分が外出先から帰宅の際、雨が降ってきたから気をつけてと、私に電話くれたくらい。それ程元気だったが…ただ、いつもより咳が多くて、その火曜の夜などは離れた部屋の私にもうるさいくらいの父の咳。私は寝付かれずうつらうつら「なんか変かも…明日CT依頼しなきゃ」なんて考えていた。翌、水曜日はクリニックも忙しくて夜帰宅すると、ちょうど父は寝床につくとこだった。冷蔵庫の中身が朝出掛けとあまりかわってなかったから、食欲ないのかな?尋ねると、「なんか食べる気がしなくて…でも今日、ちゃんとデイサービスで体操はしたけど…いつもより疲れたかな?」そんな調子だった。この日の父との会話はそんな程度だったから異変は気がつかなかった。 木曜、オーダーしていたCTのあと、採血の為にクリニックに来てもらうことになっていた。入ってくるなり、よたよた、ふらふらしていていつもと様子が違う。結局、食事も取れず、脱水があるのは見て明らか。点滴して帰宅するも、介助人曰く「なんだか朝からずっとボーッとしていて座ると寝入っちゃってた」と。夜になってやっと時間ができて届いたCT見ると…あらら、右下背側に肺炎像が…「肺炎起こしてる…誤嚥性肺炎の好発部位だ~」 クリニックから一人で待ってる父に慌てて電話。「大丈夫?」 なんとか消息確認は取れた。 まさか、こんな肺炎起こしてるなんて…いつもよりちょっと咳がうるさかったのと、この2,3日父にしては食欲がなかったかな? くらいがいつもとちがっていたこと。熱はないし、酸素飽和度も95くらい。もともと肺気腫あるからこの辺もいつもとかわらず…。画像見て慌ててしまった。「こりゃまずい。なんとかしなきゃ」 一昨日、金曜は、幸にもバイトのない金曜日。こりゃまた幸にも、いつも医療連携でお世話になってる武蔵野日赤が急患でとってくれたので連れていけた。 結果、即入院。父は「入院嫌だけど治るための最善策なら仕方ない」 状況は理解しているようだった。   こうして時系列にして、明らかなように、誤嚥性肺炎はあっという間に悪くなる。しかも熱が出たり等、全身状態が際立って異変を帯びることがなく、食欲低下、傾眠傾向とか、「肺炎」を連想するより熱中症とか他の原因を思い浮かべてしまうような症状のこともあるようだ。

「誤嚥性肺炎…」 超高齢者と同居する立場の私はもっと当事者意識を持たねばならかったのに、「起因菌は?第一選択の抗生剤は?」そんな試験レベルの知識しか持っていない。慌てて調べた知識。 やっつけ仕事だけど、得た知識はショッキングだけど知るべき情報も多い。私以外の誰かにも将来役立つ情報のはず。共有しましょう。

私が注目したのは「誤嚥性肺炎で入院し、経口摂取を目的として嚥下評価依頼のあった患者109名の予後検討」で石川県の中核病院が出した論文。対象者は65歳以上。電話で聞き取りをしながら、どのような因子が予後に関係するかを検討している。 生存期間中央値が254日。誤嚥性肺炎罹患後、半年の生存率54.8%、1年後生存率は41.8%と半数以上が死亡していたとのこと。罹患後半年まで急峻な低下を示すので罹患後まとまった生存期間を期待するなら、はじめの半年を乗り切ることが大切。どんな因子が予後の関与するかについては、年令(当然高齢になるほど死亡率は上昇)、女性より男性、元々寝たきりか否か、嚥下機能(水分で誤嚥してしまうか否か)、BMI(この場合、BMIが低くて痩せの方が予後悪い)こういったことがすべて有意差を持って予後に関与していた。 さらに注目に値したのは平均余命への誤嚥性肺炎の影響。平成30年の一般85歳以上の平均余命が4~6年であるのに対して誤嚥性肺炎起こした75歳~89歳の生存中央値は254日。90歳以上となると平均余命が4~6年であるのに対して肺炎起こした群の生存中央値は126日…。 一度誤嚥性肺炎を起こしてしまうと余命へも影響してしまうということがわかるかる。 一度誤嚥性肺炎を起こすと、くりかえし、体力を消耗し、段々消えてゆく蝋燭のように死に向かってしまう…  このデータにショック! 予後の悪い癌の5年生存率のデータを目にしたような感覚だった…。母の胆管癌の予後を見たときのショックが脳裏に蘇る…。高齢になるほど余命に誤嚥性肺炎が関わるというのも新たな認識。 繰り返さないためには… 口腔ケア、嚥下機能訓練、食べ物にとろみや刻み等、口の中でまとまりやすくする工夫、テレビ見ながらのながら食事は禁止、寝る2時間前にはたべない…このような対策が挙がっていた。  猛省に次ぐ猛省…父は私より歯が丈夫な上、良く食べる。海老の殻までカルシウムといってバリバリ… これまで、出来合いのお惣菜で間に合わせて冷蔵庫の右側から食べてね…てなぐあいだった。 たまにうちで父の食事しているのを見ていると、野球中継見ながら食事、がルーチン。私に帰宅が遅けりゃ待ってて、時にはそれからアルコール飲んでから寝る。寝る直前までアルコール摂取は日常茶飯事…  しれば知るほど介護者としては、私は失格。最近、高齢な父との同居は大変とこぼしていたから罰でも当たったような感覚。  

さて、一家族1日15分の面会、今日仕事終わって行ってきた。少し元気になっていて一安心。ボケも…多分進んでなさそう。 そこも少しホッ。 食事は今は、すり潰しやペーストで、原型を留めてない食事だそうで、文句こぼしてた。けど、完食だそうな。頑張ってるんだな…点滴だけで絶飲食にしない病院の配慮にも感謝。 点滴に甘んじて食べる意欲をなくしてしまう例もあるのだから… 退院したら再発しないよう、いろいろ生活改善しなきゃ。 前に一度「とろみアップ」 を使うこと提案したけど却下されたっけ…でも、そんなこと言ってられない。補聴器やら食べることやら、またまたバトル? なんだかんだと私とやり合う元気が出てくることを願いたい。

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