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ダイエットと漢方

[2023.03.05]

あっと言う間に3月。冷たい北風、雪が降った2月とおさらば、今は早咲きの河津桜、山吹、木蓮…通勤途中の路地や庭先も少しずつ華やかになってきました。夕方もだいぶ遅くまで明るくなって… 暖かくなりうれしい半面、今年は花粉が猛散しているようで。ご存知の通り10年ぶりの凄さとか。従って今週は発熱がなりを潜めたところへ花粉症の患者さんの来院が多くて。毎年今の時期に決まって訪れる患者さんだけでなく、今年とうとう花粉症デビューの患者さん、市販薬では対応しきれなくなった人…みんな一同、「今年は悲惨…」とこぼしている。そういう私もここ数日、朝はくしゃみ3連発。「ハックション…こんちきしょう!」古きドリフターズのダレカサンのセリフを真似てみないとやってらんないよ。

さて、ここ数回は、消化器疾患を長々と取り上げたので、今回はダイエットの話題。手短にね…  わがクリニックはいわゆるメタボ疾患のほか漢方も取り扱っているせいか、それらを漢方で何とか…という相談で来院されるかたがおられます。血圧、糖尿、脂質…この辺は漢方の出番と言うより、食事、運動療法と適材適所の西洋薬。「肥満」については「マジンドール」など、ないわけではないが使用については限定的。となると「漢方で何かありませんか?」となり、実際相談されることもあります。ネット等でも「減量に効果的な漢方」として「防風通聖散」「防巳黄耆湯」「大柴胡湯」など、取り上げられていて、これらはドラッグストアでも購入可能。ともするとこれらは「拡大解釈使用」ともなるのでそこは知っておく必要があります。「防巳黄耆湯」は「水太の人向け」と解釈されがちですが構成生薬の「防巳と黄耆」は体内の不必要な水を捌いて浮腫を軽減。この部分だけなら「むくんで水太り」にピッタリと思えそうですがさらに「生姜、大棗、甘草」も含まれており、これは「健胃」の生薬。だから本来は「何らかの消耗基礎疾患で身体がむくんで食が細くなっているような人向け」。構成生薬のの一部分は確かに浮腫を取るから一定の効果があるのかもしれないけど、本来のこの漢方の適する人の「証」は「水太りの肥満解消」とは違ってくる。また「防風通聖散」構成生薬の「麻黄、石膏」は水を捌く。「大黄、芒硝」は緩下作用がある。一時的に浮腫や便秘がなくなれば体重は減るかもしれないけど、これは単に一時的減量。漢方の清書をひもとくと「肥満」に効果ありとはっきりうたう方剤は存在しないし、「疾患別漢方処方」のどの本をひもといても「肥満」については「食事、運動療法が基本。漢方はあくまで補助的な使用」となっています。 こう言いきってしまうと、何だか剣もほろろ… 「じゃあ肥満治療と漢方は全く相容れない?」 いえいえ、そんなことはありません。食事、運動療法を基本としながらも、「肥満解消ではなく便通コントロール」で整腸、或は緩下作用の漢方…または減量中の苛々を解消するべく、その人の証にあった漢方…女性でホルモンバランスから「駆お血」の漢方を補助的に使用…サポート的に、減量の潤滑剤的な役割で私は処方を試みたりします。

「減量」といえば、最近、わがクリニックで自力でダイエット成功のメンズが数人おられます。その一人の患者さん、最近いらして「マックスの78キロから今72キロを切った」とのこと。70キロ切りが目標なのでもう一息! 身長168cmくらいだったはず。壮年期男性。コレステロール投薬中。以前は歩行中心の運動療法。1時間くらい、速歩等も織り交ぜながら頑張っていたみたいだけど、イマイチ効果無し。この時期、食事療法もしているようなしてないような…だった。血液データは投薬でうまくはいっていたが、来院のたび、「体重減らして…このままじゃ糖尿も心配」なんて会話も。そんな中、昨年夏、学生時代のスポーツで痛めて以来持病の「腰痛」にギックリ腰併発。腰をやって動けないけど食べるは食べる…で、体重はマックス78キロ。さすがにまずいと思ったとのこと。昨年10月末からダイエットに取り組みはじめ…。1日摂取を1200カロリーのダイエットとして、食事療法中心。朝は某コーヒーショップのラップサンドとコーヒー。サンドの中身はお馴染み野菜とチキンが挟まれているもの。これで290カロリーだそう。昼は社食だけど魚中心。米も控えめ。そして夜はひたすら野菜鍋でお腹を満たしたとのこと。白菜もやしに人参、キノコ。豆腐に鳥肉。このお鍋400カロリーくらいだって。 出汁だけは「○やの○」良いのをつかって飽きないようにしているみたい。美味しいんだって…で、みごと4かげつで6キロ減量! ひもじい感じもしないそう。昔好物だったはずの「シュークリーム食べたくない?」と尋ねたところ、減量の喜びの方が大きいからあまり食べたいとも思わなくなったそう…  で、何より彼にとっての朗報は減量で腰の痛みも軽減してきたことのよう。「腰って字、うまくできてますよね! 躯を表すへんに必要の要の字…でしょう?」 こうしてニコニコしながら語ってくれたのが印象的でした。 やはり地道な努力と目標を夢物語じゃなくて近づけうるところに設定することみたいですね。こういううれしいニュースも。参考までに。

 

 

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