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高齢者へのタンパク質摂取とビタミンD

[2023.10.08]

ここ数日での急激な気候変化。「寒くなって急に血圧が高めになって…」 そういいながら差し出される来院の患者さんの血圧手帳の数字も若干上がり気味?  私の方は、今が花粉症のピーク。春より秋の方が症状が症状が強い私は、金木犀の薫る頃が最も辛い。 先日、どこかの庭先から、そのほのかな香りで季節の到来を確認してしまった直後あたりから、断続的な鼻水とくしゃみに悩まされてます。 小青竜湯とタリオンで症状緩和に勤めていますが。   金木犀に高い空、風に揺れるすすきの穂… 秋を感じつつ先日川原を走ってたら…「ミーンミンミン」一匹だけ蝉が鳴いている。ちょっと控えめだけどしっかり。交尾を終えなければ生き絶えることがかなわない蝉の生態を知ってから、夏の盛りには、何だか煩くても、どこか滑稽だったのが、こうなるとせつなく寂しい…。

さて、今日はタンパク質と、ビタミンDがいかにフレイル予防に大事かっていう話を。と言うのも、先日、骨粗鬆症の話を整形外科の専門医から聞く機会あり、そこで「カルシウムが骨折の予防に大事なのは周知だけど、タンパク質、ビタミンDも必要な要素」 ということを聞いたその矢先、うちに通院中の高齢者が発てつづけに2名、座骨骨折、大腿骨頭骨折をおこしたとの連絡をもらった。加えて、現在口腔リハビリクリニックを定期通院中の父、嚥下筋力低下の予防のためにもタンパク質摂取で落ちた体重増加を促されているのだ。 高齢者へのタンパク質摂取やビタミンD摂取について、この機会に共有したいと思って。

サルコペニア、フレイル、最近耳にする機会も多いかと思われますが、そもそも両者の意味は? サルコペニアは、筋肉量の低下や筋力低下を意味する。フレイルは、「① 6か月で2kg以上の予期せぬ体重減少 ② 筋力低下 握力男性28未満、女性18未満 ③2週間のうちにわけもなく疲労を感じるか ④ 歩行速度低下 ⑤ 身体活動の有無」この5項目のうち3個当てはまれば該当者となる。共に健康寿命を伸ばすための対策の中で生まれた言葉。この言葉で囲い込まれた該当者は、メタボリックシンドロームとは対極の低栄養、時に運動不足が根本にあるからとのことで栄養療法も検討されている。 「十分なタンパク質摂取」が、筋肉量を保つ上でも、また骨粗鬆症予防の点では「骨の原料」として大事。それが証拠に高齢者の必要なタンパク質摂取量は成人男性の必要量と変わらない。「活動量がおおい若者と同じ?」と、意外かもしれないけど、高齢者は代謝や吸収力が落ちるから、十分摂取しないと有効利用できない。有効利用できないばかりか、自らのからだのタンパク質を利用してしまい(異化作用)ますます体重減少に陥ってしまう。実際データからも、タンパク質摂取量と筋力や筋肉量は正の相関を有するものが多く、特に摂取だけでなく運動療法との併用が歩行、筋力、に効果を認めたというメタ解析のデータが多い。また、高齢者は、「タンパク同化抵抗性」といって、成人と比べると同じ20グラムのタンパク摂取でも筋タンパクの合成が落ちる。これが運動療法も併用することで合成が促進するとのこと。 目安としては、毎食手の平サイズのタンパク質、具体的には毎食20~30グラムをとるようこころがけるのがよいみたいです。  次にビタミンD。骨に対しては、カルシウムの骨形成の手助けをしたり、血中のカルシウム量の調節をしているということで大切だけど、9割の人が採血では低下しているともいわれている。ビタミンDは日光に当たることで造られるので、閉じこもりがちになってしまった高齢者は不足しがち。ビタミンDはフレイル予防にも大切と、最近の臨床研究で示されました。国立長寿医療研究センターが40歳以上の1919人を調べて、ビタミンDの不足が筋力低下からのフレイルに関与すると結果を示しました。ビタミンD不足と筋肉との関係はわかっていないこともありますが、この臨床研究を踏まえたラットの研究で、ビタミンDは、筋肉量に関与するのではなく、筋線維の収縮や筋力に関与することがわかりました。よって、ビタミンDの摂取不足は骨の形成だけでなく、筋肉にも関与。摂取不足に陥りやすく、筋力低下が即生活の質の関わる高齢者にとっては摂取が強調されるわけです。

高齢者を在宅で見守っている家族のかたへ、参考になれば…

 

 

 

 

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