r-GTP だけ高いんです…診断進めるには?
6月突入! 梅雨入りまじかの今週は暑かったり、ゲリラ豪雨、目まぐるしい気候変動でしたね。一昨日のゲリラ豪雨…私は休診日を利用して父の病院お供の帰宅中。ひとり自転車漕いでいてバッチリやられてしまいました。今までも数々の豪雨の中を自転車漕いだことはあったけど、今回は記憶する中でも1番凄かった!にわかに前が見えないほどのうちつける雨。加えて、歩道にいても車道からの車の水しぶきで上と横からビシバシなぐられているかのよう…昔はこんな雨は無かったような…ちょっとした日常にも気候変動を感じますね。老人パスでバス乗り継ぎ大好き爺さんの父はこれっぽっちも雨に打たれず、涼しい顔で帰宅。なんか罰当たることしたっけ? なんて。
クリニックのほうも、最近は発熱対応も数えるほど。世間の感染情報通り。連休明けの増加予想もどうやら何事もなく乗り切ったようで、今回のオミクロン波も、前回如く、何が原因かわからないまま減少傾向なんでしょうかね…三回目のワクチン接種率が急に高まったわけでもないのに不思議な現象…この先、様々なことで規制の緩和体制に進んでいくのは歓迎すべきこと。あおりで爆発増加がないよう、祈るのみですね…。 今週は特記すべき情報もないので、ネタを搾り出して、上記「r-GTPだけいつもひっかかる」 について書いてみますね。というのも、「異常値精査」検診の結果を持って来院される方、血圧、脂質、尿酸、血糖、便鮮血に胃のバリウム異常…様々ですが、「肝機能異常」特に「r-GTPだけが高い」という方がけっこういらっしゃるので。 まず、生活習慣、飲酒状況や検診受診時から一ヶ月くらい遡っての薬剤服用歴(サプリメントもふくみます)、ここ数年の体重増加はないか?(元々痩せていた人もいるので、今回のBMIだけでは当てになりません)、中性脂肪や血糖値、コレステロール値など脂肪肝の存在を疑う他の血液データの確認、腹部エコーをやっていたらその所見…この辺の確認をします。アルコール性や薬剤性、脂肪肝は、あぶり出せます。大抵はGOT、GPTも一緒に上昇していることが多いのですが、これらの原因でr-GTPしか上昇していないこともあるので。問診を取りながら、再検査とともに追加の検査を。GOT、GPTが上昇していなければ可能性は極めて低いですが、検診でチェックしていなければウイルス性肝炎の有無、あと、r-GTPの高値は胆道系に問題があって上昇するため、そのほかの胆道系の逸脱酵素のALPも測定。エコーは侵襲が少ないのでこのタイミングで追加することが多いです。こういった再検査、追加検査を確認したうえで、更に自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎といった、自分の身体を異物として認識してしまう疾患=自己免疫性疾患が疑われる場合は、CTや場合によってMRCPといった胆道系に特化した画像検査に進む場合も。 こうしてr-GTP高値には対応していきます。 悩ましいのが前述の「飲酒歴」について。いわゆる「日本酒換算で1合程度」。このくらいだとr-GTPが上昇することは少ないので、それとは別の原因が隠れているかもと解釈したほうが良いと私は考えますが、それでも可能なら全く禁酒をしていただいて一ヶ月くらいして再検査。アルコール性なら2週間くらいで下がることが多いので。こうした検査にひっかかることもなく毎年100~200の中で指摘され続ける方も。私の印象では女性に多い印象ですが、家族性高r-GTP血症で、体質的に上昇していることもあります。 調べたところによると3000くらいまで上昇していることもあるようです。色々調べてもひっかかる原因もなく脂肪肝もアルコール性も薬剤ウイルス性、自己免疫性も否定的。こう言った方がいわゆる体質的に上昇…という方となります。値にもよりますが、念のため半年後くらいにもう一度再検査して様子を見ていきます。 何か異常値、体調不良があって皆さん医療機関を受診するわけですが「これだ!」 ってわかれば良いのだけど…原因不明で、でも値が異常…「大きな病気や原因はないけど様子を見て行きましょう…」「体質性」って言うの勇気がいりますね… このr-GTPに関してはこういうケース、開業はじめてからけっこう目にするケースです。