消化器漢方
7月になったけど、なんだか8月の初旬と間違えてしまう感覚に襲われる日々が。夜もクーラーなしでは寝られない暑さ。でも気をつけないと翌朝、喉痛めたり、冷えすぎで夏風邪ひいたりするからうまく調整しないとね。ここのところ、発熱ない「のど痛」患者さん、「今朝起きた時から調子悪くて…」の急患さんが結構いらしてます。
クリニックも7月になり、府中市検診の予約、ワクチン第4回目の予約、電話は朝から結構賑やか。受付も2人体制にしておいて良かった! ワクチン予約と検診の予約が一斉にスタートするようなことは考えてみるとなかったものね。クリニックの電話とワクチン予約専用電話、両方に二人が対応するものだから、時にコールセンターのよう。ハモるような女性の声の受付も、普通のクリニックなら当たり前なんでしょうけど、ちほクリにとってははじめて。これはちょっとした出世の光景なのかしら?…
昨日、土曜日夕方、久しぶりに漢方のセミナー、会場に行って聴講してきました。コロナ渦となって以来、学会をはじめ、最近の血圧、心不全等、新しい薬の発売にともなうセミナー、ほぼ現地とwebのハイブリッドが多く、残業に追われる平日の夜等は、ほぼweb。聴講しようと申し込んでも、仕事しているうちに開始時間はおろか、気がついたら終わってた…とかwebの申し込みの登録すら忘れ…「こんなんじゃ時代のトレンドにおいてかれちゃう…」なんて思っているさなか、久しぶりの現地で聴講できる漢方セミナー、万難排して行ってきました。内容は「上部消化器不定愁訴」。関西で活躍なさっている先生で、会場て聴講するのは初めて。内容は、私も消化器内科医として日常から良く使用している「五苓散」「半夏瀉心湯」「六君子湯」「芍薬甘草湯」。消化器はストレスも絡むことが多いので、患者さんによりけり、ストレスを主治として処方を選んだり、或は二剤合方したり、いく通りにもなるけれど、短い時間であえてこの四剤を選ばれたことに私は僭越ながら共感を覚えた。「五苓散」はそれこそ夏バテ胃腸障害、オンタイムで使っているし、「六君子湯」は冷え症の、食欲のない御高齢の方には喜ばれる処方。因みにこれは「万病回春=明時代」に端を発する処方と知りました。先生は歴史も挟んでくださるから理解も増します…。そして最近私が好きな「半夏瀉心湯」の話題。ちょっと前までは私の中ではノロウイルス感染をはじめ、「吐き下し処方」のイメージだったんだけど… 最近、日々の臨床でPPIを初めとした西洋薬やいくつかの漢方でうまくいかない方の何人かに、奥の手的なイメージで処方して手応えを感じている。それは表題の「上部消化器不定愁訴」だけでなく、下部消化器疾患の「過敏性腸症候群」の患者さんにも効果あることも…。先生の解説で理由しかり。「瀉心」の「心」は「脳」のこと。つまり、「脳を瀉する=ストレスを流れ下す」。昔は脳の働きを心臓にあると考えられていたようなので。どうりで、私の手応えを得ていた「上下部不定愁訴」は「半夏瀉心湯」の「瀉心」 に表れていたわけね…。因みにこれは、三世紀、傷寒論に端を発する… 更には六君子湯と半夏瀉心湯 は冷えの有無で使い分ける… この二つの漢方を平衡にとらえてはいなかったから、そういう話が聞けたのも新鮮でした…
何れにしても、バタバタ何かの合間や、下手すりゃ「ながら」聴講…のwebより数百倍、勉強したような気がします。
この調子で第二部の、今日、日曜のセミナー聞きたかったんだけど、ワクチン接種や、外来…10時からのセミナーはあきらめました… 漢方は処方も面白いけど、こうして歴史も知るともっと面白い。そういった漢方が生まれた時代背景もあるみたいですしね…今ある血圧やPPIが2000年後にどうなってるんだろう…そう考えると漢方の奥深さと、方剤が取捨選択の中で生き延びた、力強さを、銀色の袋の一つ一つに感じざるをえません。 書くことないよ~の今週blog、なんとか今日中に更新できました!ほっ。