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院長ブログ

便失禁(2022.10.02更新)

気持ちの良い秋晴れが続くこの数日…自転車通勤も今が一番良いとき。今日の帰り際の夕焼け空も綺麗だったっけ。背中に夕陽をしょい込む移動なので、時々振り返ってはうっとり。でもひとつ困るのが、毎年、金木犀の今の時期。春花粉よりひどい、くしゃみに悩まされる時期でもあります…  検診祭とでもいうべき、九月末までの府中市検診も終わりを告げ、インフル予防接種繁忙期までの小休止時期、ゆったりとした空気で日々の臨床はながれていってます。

さて、今日は久しぶりに消化器内科的な話題を。なんか、超直球な表題だけど、「過敏性腸症候群」で診ている患者さんが比較的多かったり、或は、家でご両親の介護をしている家族が多いせいか、「便失禁」については時々話題になる。「ガスか便かわらなくなって失禁しちゃったら嫌だな」とか「ガスかと思ったら下痢だった…」 こういう声も聞かれ、排便のタイミングや、ガスと便の性状がわからずおならでなく失禁だったことが、大変重大なことのように捕らえている方もけっこういらっしゃるみたい。勿論病気の症状のひとつでもあるから医学的には「便失禁」は大事な臨床症状ではあることは大前提。「尿漏れ」や「尿失禁」は最近、コマーシャルにもなっていて身近なイメージだけど、「便失禁」はなかなか口にだしにくいのかな? でも、医師で消化器内科を標榜していても、「私もウルトラマラソンの最中とか、ただでさえもガスがお腹にたまりぎみなとき、トイレ行きたくても、レース途中の仮設トイレが長蛇の列で、我慢して走りつづけた時とか、何度か経験ありますよ」 「お腹張るとガスか便かわからないことけっこうあるでしょ?」なんて、私の経験談交えてはなしをすると、「便失禁」を認知症の症状ととらえていたり、便失禁があたかたも人間の退行現象のように捕らえていた患者さんは、少し安心するみたい。  前置き長くなりましたが。私なりの疑問も調べつつ「便失禁」の医学情報を。

「困ってる人って実際どのくらいいるの?」これは私のそもそも疑問。2017年にご存知「ユニ・チャーム」が企業として、なんと20000人にアンケートをとって調べた情報が検索サイトに公表されていました。そのデーターでは成人の5人にひとりは、最近6カ月において、1回以上経験あり。性別では男性22.7%、女性16.5%と若干男性に多いみたい。 ふむふむ、男性に「下痢型過敏性腸症」が多いことからもうなづける。で、意外だったのは年代別の結果。高齢になるほど増えるかと思いきや、20~30代で21.3%、40~50代で19.3%、60~70代で18.4% と年代別の大差は見られなかったこと。 また、頻度については便失禁経験者の20.7%が週に1回以上の頻度で、頻度についても年代別の差はなかった。 まず、ここで「恥ずかしい」「大人のすることなの?」って思う必要はなく、意外に経験している人はいるんだってことがわかりますよね。 また、「便失禁がおきた状況」 も調べられていて、「急な便意でがまんできず」と「おなら(ガス)かわからなかった」が43%をしめ、ほかには「咳をしたとき」「重いにもつを持った時」「いつの間にか」「就寝中」 などがあった。 ここに私なりの私見を含めて、医学的に考察してみる。 排便のメカニズムを簡単に。小腸から大腸に到達した水様の「便の材料」は大腸で水分が吸収され半日から1日かけて排便される。S状結腸でしばらく留まっているけど、1日に、数回おきる大蠕動により、それまで空っぽだった直腸に便塊が移動して排便がはじまる。便塊により直腸が進展された圧で、近くにある神経が刺激され、脳の排便中枢に排便したいという信号として伝わりトイレに行きたくなる。この状態の時は通常では排便準備状態に過ぎなくて肛門の周りにある「内肛門括約筋」が緩んでるけど、意識的に収縮することができる「外肛門括約筋」がギュッとしめて漏れないようにしている。トイレに行って意識的に閉めていた外肛門括約筋が緩むと、瞬間、いよいよその頃には益々直腸内圧が高くなり排便中枢に「便を出せますよ」という刺激が伝わると、内肛門括約筋もますます緩んで排便される… 排便された後は直腸は空になり、内圧ももどり、刺激されていた神経の興奮もおさまり、脳は「スッキリした」ととらえる。 要するに「排便」には、無意識に働く神経の反射行為と意識的にがまんする括約筋の力とか微妙な共演によりおきているわけ。よって便失禁には「内肛門括約筋」が緩くて、本人が知らない内に漏れる「漏出性失禁」と便意はあるけど我慢が間に合わない「切迫性失禁」(咳や重い荷物を持った時は腹圧性失禁)一応、なまえは付けられれている。  でも、こうして排便のメカニズムを知れば、上記アンケート結果の「どういうときに起きたか」の理由はもとより、失禁に年齢差がないのも「若い人は通勤、会議、行きたいと思った時に行動制約かかるシチュエーションが多いから、年齢的に括約筋機能の弱まる高齢者と差がないのかな?」 なんていう考察もできる。 そして、排便のメカニズムには意志が関わるところよりも、上流のレベルで自律神経=交感神経と副交感神経が関わるのですよね。だからこそ、強調したいのは「便失禁」自体は恥ずかしいことじゃないってこと。意志じゃどうにもならない部分もあることはメカニズムからもわかってもらえたかしら?アンケートの結果も「自分だけじゃない」って感じだしね。 そして、腸管の機能は副交感神経がからんでいて、これはゆったりリラックスした時に働く神経。 いかに日常にゆったりとした状況をとりいれるかが「便失禁」はもとより排便には大事ですね。  ところで、コロナ前のユニ・チャームのデータ。コロナ渦後の今やったらどんな結果になるのかな? 在宅、リモートなど生活様式全般の変化、そもそも社会全体が未曾有のストレスにさらされた時期、どんなふうにかわるのかしら?ガスや腹満の相談も増えているから、失禁のアンケートデータも変わる気がします。 人任せじゃなくて自分でやってもいいけど、うちにくる患者さんだけじゃ数知れてるしなあ…でも、もしそういう悩みで来た患者さんが、クリニック独自のアンケート結果でもし、「ひとりじゃない、けっこういるのよ」って知るだけでも「病は気から」 良い薬になるんじゃないかしら? なんて…

さて、はなしはまーったく変わりますが、今週末、土日診療はお休みします。定休と祝日合わせて、父の故郷、宮崎に帰省します。私も12、3年ぶり? 母が生きていた頃行ったっけ…祖父母のお墓参りがこりゃまた、市内から1時間くらい車で行く、少々不便なとこにあるのです。親族もその界隈にいて、電話じゃ、いつも傍で聞いていて、90歳の父とじゃほとんど会話の成立してなさそーな95歳の姉さんも健在。姉を慕った父は、この姉さんのこと、最近時々口にするし、お互い元気なうちにあわせときたいしね…なにより、私も…多分この帰省が…祖父母の墓参りも含めて最後になるんじゃないかな…? 宮崎や、せめてもの福岡での学会も、ウェブ参加が、当たり前になりつつあるから、帰りに寄ったり足運ぶ機会がなさそうだし…  というわけで土日休みます。ほんとにすみません。

 

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