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立場変われば

[2023.12.03]

早くも12月突入。街のイルミネーションやイベント情報で年末を感じても体感的には「夏」から一気に今に至ってしまった感が否めない月日の速さ。 特にコロナ渦開けを意識してはいなかったものの、数年ぶりの地域連携の会合や、キャリアアップのための対面でのセミナー等々、こなしていたから余計にあっという間に感じるのかもしれない。

さて、この金曜日、私自身が検査を受けてきました。 大腸内視鏡。毎日のようにクリニックでは患者さんにやっていることを、今回は私自身が被験者。前回は5年前にやっていて2回目の検査。 クリニックに来る患者さんには「女性の癌、死因の1位は大腸だから1回はやってみて」なんて、お勧めはしているけど、いざ、自分がやるとなると、中々…。ご存知の方も多いと思いますが、とにかく大腸の検査は前の日からの前処置というのがある。普段私たちが便意として催すのは肛門の近くまで下りてきた分の便。実際にはそれよりも奥に便は溜まっている。これを下剤を服用して押し出して、当日は腸管洗浄液服用して腸壁こびりついた便やゴミを洗い流してやっと観察に堪えうるようになるわけ。胃カメラのように当日ちょっと朝ごはん抜けば即検査できてしまうようなわけにはいかないから、やらねばならぬと思っても月日だけがながれてしまう…。特に私は、前回検査、言われたとおりの術前食生活を守ってもきれいになってなかったから、ちゃんと検査しなければと思いいつつも、前回から既に6年ぶりだったとか。いつも月曜日にバイトで行っているクリニックで知り合いの先生にお願いして。同じクリニックでも、仕事で行くのと自分が患者で行くのとは、まるで景色が変わって見えるから不思議。 さて、この先は、患者さんの立場で大腸内視鏡検査を受けて感じたことを。恥ずかしながらもぶちまけ。考えさせられたことも多々あり。  大腸検査、はじめる前の前処置、中々きれいにならないと検査前に疲れちゃいますね…。私のクリニックでは、事前に自宅で前処置の後は、よほどのことがなければすぐに検査としているけど、バイト先では、「かす」が少しでものこってると検査をやってもらえない。私だったら「検査のときに吸引すればいいから…「」で、とりあえず検査。やってみて、余りに検査にならなければまた、後から本人と相談になるけど、うちでは昨年の検査開始から今に至るまで、まだそういうケースには見舞われていない。バイト先は「せっかくやるのだから、完璧に…」と、(前回が前処置イマイチだったからもあるが)追加で下剤服用や点滴などなど、ただでさえも家で2㍑服薬して気持ち悪くなり限界…となっているのに、(完全検査を目指すのはありがたいけど)、水分とり、点滴して…となると、身体も冷えてむくんで、検査前に既にへろへろ。体力自信あるわたしですら。「自己責任でもうカスが残っててもいいから」「もう今日は疲れたからキャンセルでも…」すると院長から「クリニック経営している立場なのにそれはないだろ。検査の患者がドタキャンしたり自己都合で中止にしたら迷惑かかることくらい、経営者ならわかるでしょ」って激怒されてしまって…。でも、ヘロヘロでお腹はガスでパンパンだし、思考回路まで回らないよ~ 堪忍してよ~。 そんなこんなで夕方近くにやっと検査。前回同様、私は鎮静剤使わず、つまり「寝ないで起きた状態」でやることにしている。今回の検査の目的もここにある。実際に沈静無しでやって、自分が施行する際、お腹の何処に空気がたまって苦しくなりやすいか…とかわかるし、実際使わないとどのくらい苦しいか経験するため。結果、苦しいながらも自分が検査する際にポイントとなることが、身体を張って経験してわかったけど…でも、検査がこわがったり、慣れない患者さんは使ってやった方がよいと確信。 検査する立場なら、時には自ら経験しないとわからないこと、山ほどある。結果だが幸にも粗大病変はなかったから、私は当分大丈夫そう…  

ここで突然豆知識。 随分前のblogにも記載したけど、便鮮血を調べる検診受診率は2022年でおよそ45%程度。二回法で陽性が指摘されても、この大腸内視鏡検査に回るのは5%~6%程度とのこと。すくないよね…。また統計上、便鮮血での大腸進行癌発見にたいする感度85.6%  早期大腸癌への感度は61.3 %とのこと。逆にいえば進行癌の15%、早期では40%程度は便鮮血検査でもひっかっかってこない。されど、大腸癌は日本人女性癌死亡の1位。男性は3位。罹患数は男性3位で女性2位…。   

今回私が患者さん立場となり検査受けて、大腸検査は検査前の前処置がほんとに大変と痛感。結局、私の腸は長くて一部の屈曲も強いことも影響していたからみたい…。でも検査終えてみてとりあえずたいしたことなければしばらく検査しなくて大丈夫と安心できる。万が一何かあれば、今は内視鏡手術なり、最小限の身体への負担で完治できる時代。1回は検査を受けてみて下さいな。 万が一、私みたいな腸の人は、負担にならないよう、もし以前の情報があれば事前の下剤の処方とか、とりあえず当日は見える範囲で粗大病変がないことだけでも確認する…など色々工夫するから…少なくとも検査前の相手の体力を考えてあげないと。  今回考えたこと。医者はもちろん目の前の患者さんには最善をつくしたいし、よくしたいから、何に対しても「完璧」を追求したくなるし、それが当たり前の使命としている医者もいる。私も2択でとわれれば、追求組だろう。 でも相手の気持ちが乗らなかったり、そこまでしなくても…と思われることも。医者と患者、人間同士。いつも歯車が噛み合ってばかりではない。 相手が負担、苦しいと思わないよう、どう折り合いつけるか… 自分がちょっと患者立場になっただけでも学ぶことは多かった…

 

 

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