メニュー

麻疹の話題 ワクチン接種の世代差、抗体等あれこれ

[2023.05.28]

あっという間に5月も最終週。暑かったり寒かったり、今年は定まらない気候だけれど、確実に季節は夏へ。もうすぐ梅雨入りとか? 世間は夏にむけて今年は3年ぶり、4年ぶり、いろんなイベントの再開の情報も流れているし、そんな風潮にあわせて、体調管理も個人の判断に委ねられる昨今。 来院する患者さんに「最近感染状況どう?」って聞かれることもしばしば。コロナは既に5類だから、そこまでしなくても…という感も否めないけれど、うちはまだ、発熱患者さんは、その日に電話の受診希望者ばかりだから、自然と通常予約と分けていまだに診療してます。本人の希望で調べりゃ、二人に一人はコロナ陽性。調べない人はそのままスルーだから、地味に感染は継続している感じ…というのが私の私見。今や、軽症者に使う抗ウイルス薬のゾコーバも処方しやすくなったし、変に恐れすぎず、日本全体の集団免疫が上がるようにしていくのが、世界との歩調合わせの妥当な対策なのでしょう…。

「ウイルス感染」といえば、ここのところ話題になっている「麻疹」について。都内で3年ぶりに感染者が確認されたり、今年になり感染者が7人報告されていて昨年を上回る勢いだと問題視されていますよね。「コロナ」で瞬く間に世界全土に拡大し、年余に渡り生活を一変させた感染症への脅威を経験している私たちには、「感染症」というと、以前よりざわざわしてしまう…。そこで、今日は麻疹感染の現況と世代ごと対処法についてお伝えします。

上記、感染報告が問題視されているのは、3年ぶりとか、増加傾向…というだけではないのです。日本は昨今、乳幼少時にワクチン2回接種などの普及により感染報告は減り、2015年にはWHOから「麻疹排除状態国」のお墨付きとなっていました。その後、海外観光客の増加などで2019年には散発的な増加があったものの、ここのところの感染報告は今年度に至までは低い状態となっていたのです。今年、「急に増加傾向」と言われて警戒されるのには、その感染力の強さにあり。空気、飛沫、接触で感染し、コロナ感染の6~7倍の感染力を持つと言われています。麻疹の免疫力がなければ、同じ室内にいただけでほぼ確実に感染するとのこと。今回もたまたま海外で感染してきた人と新幹線で同乗したところからの感染者だから、なるほど…って感じですよね。感染力の強さに加えて、症状についてもちょっと注目すべき点があり、10日くらいの潜伏期のあと、はじめは普通の風邪かな?と思っているうちに高熱、そして全身に発疹が出て、回復。合併症なければ10日前後の経過だけど、小児や高齢者はひどいと1000人に一人くらいは脳炎や肺炎で死亡したり、罹患後5年くらい経過してからSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という重篤な病態をひきおこすこと。脳に潜んでいた麻疹ウイルスが徐々に変異して形を変え、脳炎を起こすという。小さい頃麻疹罹患し、数年後、学校の成績低下、いつもと違った行動、感情不安定といった精神的な症状や、物を落としやすくなったり、歩行障害、体ががくんとなる発作(失立発作)などの運動性の症状で気がつかれることが多いよう。徐々に進行し、寝たきりになってしまう、特効薬はなくて、国の難病にも指定されている。50万人に一人だから稀かもしれないけど、こんな弊害もあるのが麻疹感染。 で、この予防になるのがワクチン接種となるわけだけど、本来打ってほしい一歳児や就学前の子供達がいわゆるコロナ渦出控え状態で、接種率がコロナ前と比較して低くなっているから、特に小児科の先生方が危惧しているというのが話の流れです…。現在は一歳と小学校上がる前の2回接種と決められているけれど、これは2000年生まれか否かで異なってくることが次のポイント。 まず昭和53年10月2日以前生れの人は、自然に感染して抗体ある以外は、抗体はないはず。ワクチン接種がまだ施行されなかった世代。(任意接種は別)その後、ワクチン接種が予防に有効とわかり、1978年(昭和53年)10月1日~ワクチン接種が開始となっているので、1978年10月以降~2006年4月以前の生れの人は一回はうっているはず。しかし一回だけでは免疫下がることがわかり、かつ、2回の接種で95%で終生免疫が得られるとわかってからは、2006年4月2日以降の生まれた方はさらに小学校上がる前にもう一回接種するようになっている。なので特例措置等で1回か2回多少個人差ある世代もあるから、一番確実なのは母子手帳があれば確認を。調べると、市町村により多少年代のタイムラグあるから母子手帳が1番確実。MRワクチンと書いてあるのがそれ。 で、私のような確実に接種の機会のなかった人間はどうするか…「いまさらねえ…」というならこのまま放置経過観察もありかもしれないです。良く私が話題にする「帯状疱疹ワクチンとどっち優先する?」と問われれば、(私見ですが)罹患率と後遺症のリスクから「帯状疱疹」 と即答します。(50歳以上の我等が世代はね…。) ただ、私自身、今回改めて「リスクある医療従事者のくせしてちょっと無防備だったな…」 という自戒もあり。 おたふくと水疱瘡は幼いおぼろげな記憶でかかったはずだが、「高熱出てぶつぶつ出た記憶は?」 と問われれば、ちょっと曖昧…。で、昨日「麻疹Ig G抗体」取引の検査会社に依頼してます…。検査会社によると、2未満なら2回接種がオススメ。2以上16未満なら1回接種がオススメとなるとのことです。 結果は如何に? 私のような曖昧な感じでも意外に知らない間に感染して抗体できてるかもしれないし…でもまず、過激な症状だからかかってれば不顕性はないはず。 でも、砂場に落ちたお菓子、ふうって拭いて口に入れて食べちゃったような世代なのでどうかしら?… 隠す個人情報でもないので、聞かれればお答えしますね。で、16未満で結果必要とあったら…私は仕事が仕事だからやっぱり接種するかな?

ワクチン接種のついでに… 帯状疱疹の助成… どうも府中は10月以降らしいいです。先日医師会の定例会でちらっと話はでていたから、今年中には何とかなりそうだけど…でも近隣市町村より遅いなんて…国分寺も国立も6月からよ! ダメね…。ちょうどインフルエンザワクチン接種やコロナもはじまるからわざと当ててる?  つい、勘ぐっちゃう。 ほんと府中市って… 私は昨年実験的に既に打っちゃったから助成は関係ないけど。 コロナワクチンはじめ、こういう福利厚生対策は市町村で異なるというのが、開業医となり、コロナ渦通じてしみじみ感じています。今の調布も府中と変わらないかな?  

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME