あーあ、介護の学び
陽射しには春の光を感じるけど、まだまだ風は冷たい2月半ばの日曜日。
さて、今日blogは日記。医療ネタではないからね。今回の話題は介護ではよくある話かもしれない。クリニックには親の介護をしている患者さんも多くいらして、お互い近況話しつつ、学びも多い。私もここまでの高齢親族介護は初めてだから、初心者。そんな初心者の今日の日記はなるほどと思う人、「私も経験あり」で、笑い出す人、様々かも。
そもそも発端は認知機能低下しているのに、容赦なく届く父宛の確定申告書類。おまけにネット申告の案内まで。テレビのリモコン操作もままならないもうすぐ93歳の父に。いったいなに考えてんの!と言いたくなる、それに、収入ないのに何で来るのかいまいち不明だけど。 ある程度はクリニックに来てくださる税理士さんに先日見てもらい、医療費の計算や郷土愛のふるさと納税計算は、頭の体操かねて自分でやってもらうことになった。ところが、父にとってはストレスフルな大仕事。あちこち通院しているから山のような病院領収書。日中、私が不在の有り余る時間にリビングの机、存分に使ってやればいいのに、ここのところ、私が帰宅する頃にごそごそやりだす。交通費がわからないから聞きたいのだろうけど、おおよそ、92才の年寄りが起きている時間じゃないような夜中の23時過ぎに帰宅した私にいちいち聞いてくる。こちらは散らかってる書類を前に夕食なんて嫌だし、父が起きていると何かと片づかない。交通費もざっくり合計いくらだと教えれば、区間毎、いくらかと聞いてくる。こちらは空腹もあり(とてもメタボ対策で食事指導している同年代男性諸君には語れないような夕食時間!)「あくまで合計で大丈夫だから!」いらついて諭すと「いざというときのために知っとかんと。あんたは扱いにくい女性だ!」と、突然切れ出した。「はぁ~?扱い女性とは何よ!女性蔑視も甚だしい!私は品物じゃない! おとうちゃまはそういう人間じゃないとおもってた! そんな人とは同じ空気吸いたくない!でていけ~ここは私ん家だ!」とっさに私は叫んでいた。深夜の出来事。未だに騒音クレームは来てないけど。 父は私を大学進学の際も、何もいわず群馬に出してくれたり、母に対しても、まだ私が生まれる前、さらに勉学極めたく、大学院進学を望んだ母の希望を快諾した、女性に対してリベラルな考えの人だと私はずっと思っていたし、その一点に対して私は心から敬意を払っていた。「認知機能低下すると、素の姿が出るとは聞いていたけど、昭和一桁のいしあたまじじい、結局女性蔑視だったのか!?」「その女性をバカにするような発言は墓場までもっていってほしかった!もうしらない!」 ここではっきりさせておくけど、こちらが最も嫌な、最低男性が口にする言葉だと私は常々おもっている。この、○○な女だ!っていう言い方。 私はそれ以降、無視を極め込んだ。 数日間、いつも朝でがけに声かけて、その日の曜日と今日の予定の確認するけど、それもなし。どうせ、帰宅は深夜。ますます夕食時間遅れるけど、クリニックで貯まった仕事、目一杯こなしてわざと遅い時間に帰宅。 なのに寝ていりゃいいのに、玄関が開いた音すりゃ「おかえり~」 「何か、虫の羽音かしら?」それも無視。 食べるものも一週間くらい、私がいなくても何とかなるように冷蔵庫に入ってるから、べつに困りゃしないだろう。同年代の患者さんで日がな独居の方も山ほどいる。「しーらない!無視、無視、無視!」。そんな調子で過ごしているなか、知人と話す機会あり。「ボケがすすむから適当に折れたほうがいい。それに‥認知症あるとだんだん言葉がでなくなるから、頭に浮かぶ言葉が出るのかも」とのアドバイス。「日々怒るのもエネルギー要る。とりあえず何か言われたら、おうむ返しに言い返しておけば、頭に来ることも少なくなるよ。何か言われたら、あんただって!って、とりあえず返すっ…てな具合」なるほど…。認知機能低下して思い浮かぶ言葉しか、感情表現できないのなら、当然、その言葉の意味する本当のところとはズレも生じるだろう…そしてまた、「言われたら同じ言葉を投げ返す」ってのはこの場の限らず、なんて賢い社交術なんだろう。 普段から身についている人はなんとも思わないかも知れないけど、私みたいに失礼なこといわれてかちーんときたとき、一瞬固まって二の句も告げなくなるか、或は逆上して怒るかどちらかに振り切れて、いつも後悔。「ああいい返してやれば良かった…」「なんで一呼吸おかなかったんだろう」とかそんな具合。そんなとき、考えることなく「あなたもそうよ。お互い様~」と交わしておけば、とりあえず言い返したことになるし、むしろ相手のほうが先に発言した言葉の不快さに打撃を受けるかもしれない。 へえ…そんな大事な2点を学んだアドバイスに感心していたところ… その翌日だったかな? 帰宅して「今日は起きてない、しめしめ…」 家の雑務こなしていたら、がちゃっ 扉があいて、のそのそ例の御人が突っ立ってる。 「ごめんね。あんたがそんなに傷つくとは思わんかった。最近、頭に浮かぶ言葉が少なくて、つい傷つけるつもりなく口にしたら、こんなことになっちゃった…」 アドバイス通りだ… 「おとうちゃまは、男尊女卑じゃないって思っていたから、すごくショックだった。扱いにくいなんて、品物じゃないよ。もうわかったから。 でも、一度口にした言葉って、回収できないから…。そのことは心に留めておいてね」 今の父には無駄なことかも知れないけどお願いした。 一応和解。 すぐさま、いっぱいのみたいとか言い出すから…少しほっとしたのかな?
ある程度年齢いって、認知機能衰えると、とりあえず、手当たり次第、浮かぶ言葉で表現することもあるから、もしかしたら、それは言葉の意味が、発した本人の本当の心理や考えを反映していないこともある… 。額面どおり解釈は危険ね。介護職の人や長らく介護生活をしている人には当たり前のことかもしれないけど、私には大きな学びでした。
23時57分、もうすぐ月曜だ。blog更新間に合った!明日は午前バイト終われば火曜日休み。でも、爺さんの手伝いか…