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不安定な気象と体調維持の難しさ

[2024.05.19]

外の明るさに惑わされ、高温かと思いきや、玄関出れば強風で意外な寒さだったり、吹く風の向きで体感温度も変わる今日この頃。昔は今の時期、冬の寒さから解放され、梅雨前の爽やかな、一番素敵な季節だったはずなのに、最近は寒暖差、強風、「穏やかな‥」とはほど遠い。気象のせいだけではなく、今週はプライベートでもざわざわしていたためか、せわしく週末となったような印象。 穏やかとは言い難いこの気象のせいで体調崩してクリニックに来る患者さんも多いけど、我が御父もその類いだったのかな? もともと誤嚥もあるから何となく普段から咳しているけど、「ちょっと咳多いかな?」と思ってたところ、「寒い」というから熱計れば38.4度! 解熱剤でもあまり下がらす、苦しそうな咳。あっという間に悪くなり‥ がちょうど、一週間前の(日)。 昨年、誤嚥性肺炎で入院したのも6月だっけ? 気を付けないと入退院繰り返すから‥と食事も工夫したり口腔リハもしていたけど気象の変化についていけなかったのか‥。すぐに抗生剤点滴しながら翌日CT撮影。 気管支肺炎だ。でも、血液データは先年ほど悪くはない。昨年入院の病院に連絡するも、今回はベット空きがなく入院できず‥。入院させれば安心‥という思いもある一方、「入院すると、今回はさすがにボケが進むかも」という危惧もあった。そんな私の心を見透かしたかのような「入院しても、今、先生が使っている抗生剤を点滴するだけだから、このままクリニックで治療続けたほうがよい」と電話で呼吸器ドクターからの遠隔指示。 本人も入院は嫌だと言ってたから‥ それから、ほぼこの一週間、クリニックスタッフや、身内の協力の下、仕事しながら、父の在宅医療も継続できた。92歳だから何があっても「大往生ね」で片付けられる齢だけど、本人はまさか命落とすとは思っていない。生きるつもりでいる以上、やれることはやってあげないと‥ 酸素飽和度が、90切ることもしばしば。在宅酸素療法も必要‥と考えるや否や、在宅知る同僚からアドバイスをうけ、早速業者に連絡すればすぐに家には機械を設置。これで在宅ケアも可能な状態に。 何だか生きた心地がしない一週間だったけど、父の元気のメルクマーレは食欲。これが落ちなかったのがよかったのか、抗生剤早めに始めたのが良かったのか、2、3日前から解熱、咳も減ってきた。 やれやれ‥高熱の時はせん妄もありドキドキしたけど、認知症の悪化も、入院措置をとらなかったことで最小限防ぐことはできたみたい‥   こんな一週間のなか、外来にも気象の変化についていけない? が原因と思われるような体調不良‥。そういった患者さんの振る舞いに変化を感じたのでその話題も。  既に気温や気圧の変化が身体に影響を及ぼすことはちゃんと実験モデルでも明らかにされている。前にもblogに話題にしたけど、症状は多岐にわたる。頭痛、めまい、関節痛に消化器症状、気分の落ち込み等など。 発症機序も少しずつ解明され、例えば「関節痛」。 普段、気象状況に左右されない人は急な低温環境で何の変化も起きないところ、有病者は患側の血流低下がみられられ、原因に自律神経が関与していることがわかった。また、圧の変化においても、低気圧暴露により頭痛の痛み指数が増強した。同時に交感神経のパワー変化が気圧の上下降タイミングでその指数値が大きくなったことから、この場合も自律神経である交感神経の賦活が示唆された。つまり気圧や気温の変化刺激が交感神経を興奮させ、痛覚繊維に異常連携し、痛みが増強する…という発生機序。動物実験でストレスホルモン系が関与していることも明らかになって来ているよう。  また、具体的に、ウエザーニュースを用いた大規模調査で気圧変化と症状増減の相関解析を行ったという報告においては、気象変動による気圧の大きな変化よりも、その前の微気圧変動の時と、1日のうちで気圧変化の大きい午後3時頃が痛みの悪化や体調変化を来すことが多く見られたとのこと。  ちょっと前までは「台風がくると、喘息が悪化する…」 「持病の関節痛が疼く…」 くらいしか聞かれなかったが、昨今の異常気象のせいで「気象環境による体調変化=気象病」が、ひとつの病態として成り立ってきた感がある。 昔はマイナーだった「花粉症」が今じゃ国民病とも言われる時代…。やがて気象病もそうなるかも…と危惧される。 めまい、頭痛、胃腸障害…治療は、出ている症状に対しての対処療法しかないわけだが…。 私が驚いたのはこの先。ここのところ、久しぶりの患者さんがちらほら…。中には、足繁く通ってくださっていたのに来なくなっちゃった…みたいな患者さんが久しぶりに来院。そういった患者さん、カルテの記載からは数年の間の今の時期か、秋頃の来院歴。「前回来たときと同じような症状…。余ってた薬で凌いでいたけど、なくなっちゃったからまた来ました」 そういう人を複数見かける。つまりこういった患者さん、みんな、この時期に気象の状況で体調悪くなる…と認識しながら、服薬しつつ、体調管理を心掛けているのだ。 中には、ウェザーニュースのアプリを利用して気象状況を確認しながら、症状が起きそうだと判断して早めに漢方服薬を開始したり、再開したりという人も。 で、手持ちの薬がなくなり、前と同じ処方希望で来院というわけ。もちろん、他に何か別の病気や事象が隠れてないかは見直す必要があるけど。  「この薬が良いみたい」という手応えがある薬は個人差あり、花粉症のように一筋縄ではないから、医療機関受診してトライ&エラーはあるかもしれない。でも、ウェザーニュースのアプリの利用や対処療法となる薬を見つけて、 気象変化の激しい波ものまれないよう、やり過ごす術を得ないと。  今日は先週の中途半端なblogの続きと、昨今の不安定な気象のなかでの体調管理の術を身につけている患者さん達のお話でした。 今日は小用でクリニック休診。ちょっと珍しい会合に参加したのでまた折りをみてお話しますね。よって今週火曜日は検査日ですが外来診療も致します。

 

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