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高齢者の白内障手術 家族目線で

[2022.09.11]

9月も10日を過ぎた今朝、思わず開け放した窓からの冷気に目が覚めた。  「寒っ!」久々の体感に季節の移り変わりを感じつつ、慌てて窓閉めた。「今晩は夜風が心地好いね…」なんて言いながら寝入った御父の部屋は? 慌てて見に行けば、ぴっちり閉めてる…さすが、御身大切さんだわ…

この数ヶ月、ゴルバチョフさんに京セラ会長俵さん、森英恵さん、そしてエリザベス女王…世界内外、時代を担い、活躍なさった方々の訃報が相次ぎ、改めて「うちの父だって、いつ何があってもおかしくないんだな…」 感じざるをえない。そこそこ持病はかかえているし、90歳を超えて、歩き方や動作一つ一つに頼りなさが目立つようになってきている…。 そんな御父が両眼の白内障手術を終えてちょうど三週間。 今じゃ100歳でも手術する時代。高齢者の白内障手術について、家族の立場で感じたこと、手術後の可笑し裏話など、今日は書き留めよう。

父の場合、去年から今年にかけて視力低下がすすんだこと、放置していては、朝の大好物新聞読みが億劫になり、認知症の症状が進行してしまう。こういった危惧もあり、今回の手術決行。私と知人の眼科医とで先行決定のきらいもあったけど、嫌がらなかった。日帰りで月曜午後から左目、翌日の午前に前日手術の経過を見て、午後から今度は右目、翌日午前に右目の診察。三日連日通院のコース。術前検査や手術承諾は私が付き添ったけど、手術当日は車で通院できるため、義理弟が全面協力。高齢者の手術だと、まず付き添いが必要なのは想像に難くない。おおよそ20分くらいで、当日手術する人は何人もいるから、ほぼ流れ作業のようだったとか。(検診センターの胃や大腸内視鏡さながらね) 「高齢者が一人じゃ大変だな」と感じたのは手術当日より、その(前)後。まず第一は目薬。手術前日からの1日4回の点眼。手術前は2種類なのが、終わった後は4種類、1日4回。初めは点眼も一人じゃままならず、家族が手伝う。(もっとも、昼間は一人だからちゃんとやってるかは、不明)5分間隔で種類が多いと、手伝っている私ですら、どこまでやったか…とおぼつかないことも。目薬に追われて、日頃服薬の内科の内服薬を飲み忘れたり、吸入もし忘れ…なんてウッカリも。施設など、人の目が行き届いていれば、問題ないのだろう。毎日のことだから、ここ数週間はちょこっと大変だった。思いっきりルーチンワークならば自然に身体が動くのだろうけど、とってつけたような新しいことには高齢者一人では難しいかも…というのが、率直な印象。特に「寝前」の点眼が厄介。点眼しているそばから寝入っちゃうから。5分間隔で、いびきかいてるそばから、目をこじ開けて反転している眼球に目薬点してびっくりさせる、ながば、いたづらにも近い作業、私は何度執り行ったか… 忘れもしない、二週間前の日曜日。blog更新しながら父の寝る前の点眼…リビングのソファーに横たわっていた父。blog更新終わりと同時に最後の点眼も終わり… 1日終了! ゆったりした気分でテレビつけたら、いきなりBSで、どこかヨーロッパの野外コンサートの風景が目に飛び込む。と、同時に耳慣れた和音が。「ジャン~」ピアノの響きに「あっ、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番だ!」 大好きな協奏曲が、いつか行きたい、ヨーロッパの今時期の野外コンサートで奏でられている… 日曜夜の1番ゆったりした時間に大好きな音楽… 開放感に浸りながら耳を傾け…  まもなく「あれっ?変な音がシンクロ…」 いつのまにかソファーの御父の鼾がテレビの向こうの楽曲とシンクロ… 「ったく…だいなしにしないで…」即座にあっちのベッドに寝かしつけようとしてはみたものの…。 まあ、でもこうして見ていると、窓からの夜風に実に気持ち良さそう… 父をじっと見てたら「大好きなラフマニノフ、これからも何度もいろんなシチュエーションで聞くんだろうな…でもずーっと絶え間ない鼾つきのラフマニノフ、2度と聞くことはないかも…」 白内障手術終わってホッと寝いっている年老いた父の姿が、また、曲を聞く度に思い出される、平和な貴重な思い出になるかも…そんな一場面もあった、点眼に纏わる話。  第二の問題は夏の手術だと、髪の毛が洗えなかったり、眼球に水を入れてはならないから(眼内炎予防のため)ウッカリ忘れて何かの拍子にいつもの癖で、洗面所に立ったとき顔に「ぱしゃ」ってやりかねないから、良く注意しないと。「目を濡らさないように」という注意が術後一週間目の診察まで続くから、そこも注意ポイント。うちの御父はクリニックの草むしりの後、汗かいて、着替えと同時にうがいした後、顔に「ぱしゃ」 ってやっちゃった!いつもの癖ね。すぐに時間の点眼もあったから大事にはいたらなかったけど。  暑い夏の洗髪にに関しては加齢臭がいい加減我慢できず、とうとう私が細心の注意払って、美容院風に風呂場で洗ったけど。  でも、こうして数週間たって、やはり良く見えるようにはなって来たみたい。行っているいつものダンス教室でも「広いところに行ったら、いつもより明るく見えた」って嬉しそうに語ってた。 それにまあ、ビックリしたのは、ある日私が洗面所で身支度していたら、いきなりそばに寄ってきて「おとうちゃま、こんなに顔にしみあった?」ですって! 「そんなの前からだよ!大体90にもなって、つるつる、しみひとつなし、なんて薄気味悪いったら」と一蹴。 良く見えるようになった弊害?そんなことまで気になるのかしら? わがクリニックに来院の同世代の男性陣は「眠れない、便がでない…もっと生きることに直結した問題かかえて、生きるのに必死よ!」 そう言い放てば「男だって口に出して言わんだけでみんなほんとは気にしてるんだよ」 ですって!本当?…  まあ、ここまで細部に関心が至るのならば、ぼけ防止でよしとすべきか… 「あんた、何使ってんの?いいのつかってるみたい…」 人の美白美容液にまで使いたそうな勢いにはいささか閉口…

術後のケアを考えると、認知症が多少ある高齢者の白内障手術は、やはり周囲に人がいないとちょっと大変かな?というのが正直な感想です。 いまのところ、経過順調で、もう少ししたら、手元用の眼鏡は作り替えるのかな?

優雅に力強く生きたエリザベス女王の訃報、国内じゃ、腐敗しきった国政…子供に纏わる悲しい事件…よいことひとつないニュースばかりなので、今日のblogは私の個人的家族に纏わる将来の思い出blogでした。ご静聴ならぬ御拝読ありがとうございました。

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