珊瑚樹
一昨日、ギリギリ明るいうちに現場へ。
おきまりの土曜午後に行くことが叶わない中で足場が外れたと聞けば気になる。
そんな中、無理してでも出かけてよかったと思える出来事が起きていた。
足場あるうちは目立たなかった珊瑚樹が枯れて、虫食いだらけになっていた。
この木は虫が付きやすいからと毎年頃合い見計らい消毒を梅雨前にやっていたのが今回はちょっとした行き違いでできなかったことが仇となりとんでもないことに!父も消毒を怠ったことはなかったから、放置でここまで変わり果てた有様にびっくり!
元々落葉が多い木ではあったが枯れてくればその量は倍増!
近所迷惑だ。至急なんとかせねば。
考えても見れば、父が在宅の折りは毎日掃いていた。今は工事のおじさんがやってくれてはいても枯れてくれば朝掃いても日中にはたまり、行き場のない葉はあちこちに飛んでしまう。
建築士さんが木々も一体化させてクリニックの設計を考えてくれていたのだが、今起きている現実、そして今後クリニック始まってからの手入れの煩雑さ及び落葉多さの近所迷惑を考えれば、自ずと答えは見えてくる。
今なにを第一優先にするか…
管理していた父に急遽電話。「消毒しないからこうなるんだ、残すなりのやり方がある」と言いながらも「今回のことは将来を考えるきっかけだよ」の私の意見に同意してくれた。治代さんにも連絡して状況話した。ゆっくり考え次の策を打ってなど机上で話しあいなぞしている間にもこの有様が続くだろう。拍車をかけて。ましてやじめじめ梅雨の候。不衛生さも増すし、ここはなんといってもクリニック。この状況放置じゃ、治らないクリニックと、開業前から看板張り出しているようなものだ!
「伐採!」
私の悲鳴にも近い電話口の声に棟梁も飛んできてくれた。伐採にも方法が色々あるからと説明をうけて、でも「この不衛生な有り様と掃いても周りに飛んでしまう今の状況の打開を第一優先にしてください!」
その後手を尽くしていただき、夜には「明日伐採」と。
切った後どうするかは後で考えるとして、今起きていることに迅速に対応できて本当によかった。
予期せぬことはつきもの。クリニックが始まって、頭悩ます種になりそうなものは、今のうちに摘んだ方がいい。
昨日午前中には斬ったとのこと。やれやれ。
その後もう一つ驚き。
若干父が心配だったが、ある意味私より頭の切り替え早い?
昨日、夜帰宅すると、父が押し葉を持ってきて私に見せる。
「今日歩いてて、いつも気になる生け垣の前通ったとき、やっぱりこういうのがいいなと思ってちょこっと上の方の葉っぱ摘まんできたよ。高さもちょうどいいし。なんていう木かな?あんたもこれにしたら?上品できれいだよ。下にはこういうのも植えていて…」
もう次のことを考えている。確かに父のいう通り、なかなかセンスの良い樹木の葉っぱ。「明日現場で見せて聞いてみたら?」
ということで今日の午前中あたり、元々状況見に行くことにしていたから、あの押し葉も見せているだろう。
まだこの場から頭が動いていない私とは違い、父はゆるりと次のことを考え穏やかーに「こんなのきれい」
と葉っぱを失敬したりして…
最近、86の父も含めて高齢の患者さん見ていると、長生きの「生き方上手」を感じることがある。
今日元気に内視鏡やりにきた90のお爺さんもそう。
うまく言葉にできないけど頭の中のカリカリヘルツが私とはちがう…
その年齢だからこそなのか、元々の性格なのか、とにかく長老の部類に入る人には独特空気の流れがある。
彼らから学ぶべきことは多そうだ。