持続性知覚性姿勢誘発めまい って?
あっという間に一週間が終わった…。やはり6月になっての「診療報酬改訂」。まだ慣れなくて目の前のことをこなして精一杯。同じように毎日繰り返してあっという間に一週間経過。 通勤途中、ちらほら咲き出した紫陽花を見かけると、やっと毎年のこの時期の顔に出会えて安堵する。まだ関東は梅雨にはなっていないようだけど。 先日blogにもかいたけれど、頭痛、眩暈…直接薬取りに来るまでには至らなくとも、来院する常連さんの血圧手帳の備考欄に「眩暈で寝てる」「メリスロン服用」「頭痛」…そういった走り書きを目にすることも多いのがこの時期。 漢方処方しているせいか、こういった症状の患者さんに触れることも多いので、たまに専門外でも知っとかなければ…ということがあるわけで…。今日は医学情報誌から仕入れた知識を、共有しますね。 鬱陶しい眩暈…。発作性や、どちらかを向いたときに起きる…でも嫌ですが、一日中続く慢性眩暈についてのお話し。持続性知覚性姿勢誘発めまい。ながったらしい名前。英語の頭文字をとって「PPPD」といわれていると。 知りませんでした…。勉強不足。言い訳ですが、それもそのはず?新しい疾患概念だそうで2017年に国際平衡学会と言うところで診断基準が出されてよりひろくしられるようになったそう。めまいといえば、脳や頸椎に器質的な異常ないとして、メニエールや発作性良性頭位性眩暈が有名ですよね。これら疾患は内科にも相談にきためまい患者さんにも多い疾患で、急に起きることが特徴で、発作がないときは普通に生活していられるのが特徴。 PPPDは「雲の上を歩いているような」フワフワした感じが、毎日あり、3ヶ月以上継続しているのが特徴。メニエールや発作性良性頭位性眩暈のような「回転性」「特定の頭位」で起きたり、症状がないときは普通に生活できるのではなく、毎日、ずっと続く厄介なめまい。「こんなもんか…」と、やり過ごせない慢性眩暈。 慢性眩暈とは、3ヶ月以上続くのを指すようですが、この疾患はその40%くらい占めるそうで、結構多いですね。 原因は…平衡感覚はそもそも、視覚、聴覚、体性感覚(足の裏)からの3つの情報が小脳で投合されて保っているのだけど、PPPDとなる前に、何か先行する眩暈、内科疾患、精神症状が治った後も、情報伝達の過剰反応や乱れが残ることにより発症するとのこと。 厄介なのは単独で、あるときからこの疾患が起きるだけではなく、メニエールや発作性良性頭位性眩暈に合併してでてくることもあるとのこと。耳鼻科の先生もメニエールとして診ていた患者さんが、タイプの違う眩暈症状を訴え出してきがつくこともあるとのこと。症状は、毎日のフワフワ感が、体を動かしたり、乗り物に乗ったとき、(今まで大丈夫だった)細かい文字や、千鳥格子のような細かい模様等でより悪化するといった誘発因子があることも特徴のよう。 診断は…「これ」といった有意な検査所見がないため、3ヶ月以上続く「慢性」の眩暈、持続的に。耳鼻科的検査所見で他の疾患を除外したり鑑別して診断つけるようです。 問診票も参考にされるようで、以下に添付しますね。
PPPD 診断のための問診票(Niigata PPPD Questionnaire、NPQ)
3ヶ月以上のフワフワ感が以下のようなシチュエーションで… 0点 全く悪化ない 2点 多分ない 4点 悪化するかも… 6点 悪化する!
27点以上だとPPPDの可能性が高いとなるよう。
Q1. | 急に立ち上がる、急に振り向くなど、急な動作をする。 |
Q2. | スーパーやホームセンターなどの陳列棚を見る。 |
Q3. | 普段通りに、自分のペースで歩く。 |
Q4. | TV や映画などで、激しい動きのある画像をみる。 |
Q5. | 車、バス、電車などの乗り物に乗る。 |
Q6. | 丸いすなど、背もたれやひじ掛けのない椅子に座った状態を保つ。 |
Q7. | 何も支えなく、立ったままの状態を保つ。 |
Q8. | パソコンやスマートフォンのスクロール画面を見る。 |
Q9. | 家事など、軽い運動や体を動かす作業をする。 |
Q10. | 本や新聞などの細かい文字をみる。 |
Q11. | 比較的早い速度で、大股で歩く。 |
Q12. | エレベーターやエスカレーターに乗る |
早く気がついて早めに治療することが回復につながるよう。抗うつ薬、前庭神経リハビリテーションなど。
私には専門外だけど、2017年からの疾患概念。日進月歩の医学。皮膚も目も耳も、ついでに心も…とりあえず「何だろね?」って、住宅街の内科クリニックには、「ほっといていい?紹介状書いてもらった方がいい?」何でもくる。相談受けたとき、引きだしに少しでも道具入れとかないと。今日は自分が季節がら多い相談の知識仕入れたので共有しました。耳鼻科の先生には僭越ながら…。でも、もしかして、近隣の耳鼻科さん、患者さん増えるかも知れないですね!