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過敏性腸症候群の臨床研究に手を挙げました!

[2021.03.21]

春到来のなかで解除はされた緊急事態宣言。大丈夫のお墨どころか、下げ止まりの感染者数や変異株、進まない医療従事者へのワクチン接種…。もはやここまで延長だと慣れっこのなっちゃって緊急が緊急って感じがしない…今日の春の嵐が解除前にコロナもを宇宙の彼方に吹き散らしちまえばいいのに…強風に煽られながらそんなこと考えちゃいました。宣言があろうがなかろうが、私たちは今まで通り「手荒い、マスク、うがい…」不要不急は避けながらも、通りすがりの花を愛でたり、まばゆい緑に生命の躍動を感じたりはしたいものですね!

今日は上記表題の「臨床研究に手を挙げました」ということを話題に。というか、希望者を募りたいので告知目的もかねて。

「過敏性腸症候群」って耳にしたことある方も多いはず。大腸に器質的な原因となる疾患がないにもかかわらず腹痛を共なって便秘や下痢、或は双方繰り返す。数ヶ月にわたって…重症度は様々。「放置して命を落とす」といったことはく、緊急性もないから「排便時ちょっと腹痛あるけどだせばなんとかなるから…」と気にしてない方、或は、朝通勤時にトイレがないと怖くて各駅停車しか乗れない…など生活に支障来しておられる方も結構います。ストレスが原因ともいわれているけど、はっきりとした原因は不明…。私は漢方処方もやっているせいか、「慢性の便通異常」で来てくださる患者さんに接する機会が、割と多い印象。なのである日「過敏性腸症候群の臨床研究にご協力頂ける医療機関募集します」の情報を知ったとき、具体的なことはわからないけど「何か将来の、治療に役立つことなら…」と、軽い気持ちで応じてみました。

果たして…常日頃私がやってみたい!と思っている、ワクワクするような内容。とりあえず私的コメントは後にして計画の事実事項のみ、以下に掲げます。

TAILOR-IBS study(過敏性腸症候群患者を対象とした個別化サプリメント摂取による主観的重症度数への効果の検証)

特定臨床研究…いわゆる「治験」と呼ばれる、新薬が世にだされる前に製薬会社が厚生省の認可を得るためにその安全性や有効性を調べるものとは違い、今回は特定臨床研究。大手企業(名前は今は出せません)から資金援助を受けて私たち臨床医と共同で行う研究的な側面。いわば創薬の前段階。

研究内容の背景…上記過敏性腸症候群は原因不明とはされながらも腸内細菌叢(多種多様な腸内細菌のバランス)が関与することは知られている。なのでこの細菌叢を改善することで臨床症状も変わる可能性がある。腸内細菌叢を改善させる薬やサプリメントにはプロバイオティクスとプレバイオテクィスの2種類がある。プロバイオテクスは人の腸に良い影響を与える微生物のことで、例えば乳酸菌など。プレバイオテクスはそれら微生物の栄養源となり、腸内細菌の活動を助ける、例えば食物繊維やオリゴ糖。これまでも過敏性腸症候群の患者さんにこれらを摂取してもらうと状態が改善することは。臨床の場でも実証済み。ただ、腸内細菌叢は個々人多様であるため、本来はその人にあったプロバイオテクスやバイオテクスを摂取してもらった方が効率的だが、まだ個別化した細菌叢とこれらバイオテクスの関係を調べた研究はない。そこで…

研究内容…研究の対象者となった患者さんの便を採取していただき、その腸内細菌叢を指定の研究期間で分析する。その結果とその時のお腹の張り具合から、その人に最適と考えるプロバイオテクスとプレバイオテクスの組み合わせのサプリメントを1~3種類決定し1日1~2回、一ヶ月服用していただく。患者さんは合計3回の採便と一ヶ月の服用のほか、服用前の8週間を含めて排便回数や便性状の日記をつけてもらう。15施設で集められたデータを解析し分析するといった内容。

ざっとこんな感じ。私はこのはなしを聞いたとき、「素敵!」ととっさに思った。今は私自身はクリニックで、いわゆる過敏性腸症候群に保険適応のある西洋薬や漢方、そしてこうした整腸剤等を個々人に合わせてオーダーメイドで処方している。季節によって症状が変わる人もいるし…うまくいくときは良いけど、難渋するとき「いったい、この患者さんのウンチってどうなってんだろ…」なんて感じることも時にはあった。まさか「ウンチ分析機」なんてこんなちっぽけなクリニックじゃ置けないし、調べたとこでどうフィードバックして良いものやら…「同じ整腸剤なのに好き!嫌い!こんなに人によって反応違うのにはウンチの状態わかればなあ…」思いが通じた!是非共同で参画したい!と思った。久しぶりにワクワクする出来事だ。もし結果から何か得ることがあれば私自身の診察の一助になるし、患者さんにとっても、自分を困らせているうんちの細菌叢の状態を調べてもらえて、理論上適切と思われるサプリメント服薬できるってメリットじゃないかしら? 

具体的にはまず、これから我がクリニックを含めた医療施設の審査を含め、厚生省の認可を受けた臨床研究審査委員会の審査を受け、承認を得てからのスタート。予定ではおそらく7月頃から希望者患者さんの同意書を取って登録に1か月かかるから、始まるのは秋頃から。さらに登録には除外条件があったりするので(研究前3ヶ月以内の服薬内容によって除外条件あり)、腹部手術歴のあるかたは除外など、臨床研究するからには揃えなければならない臨床背景があるので…詳しい話は長くなるので今日はこのへんでおしまいにしますが…詳しい話は外来受診の際に該当の方や希望者にお話ししますね。

私は基礎研究で博士とって、もう研究の道はないのかな?なんて思っていたけど、こうして臨床を日々行う中で、一番自分がはっきりさせたいな…と思っていた的に球を当てられた感じ!ワクワクしてますので、このブログで興味持った該当患者さんは気軽に外来に来たときにでも尋ねてくださいね。私も声かけるつもりです!

ときわまんさく
昨日走ってて見つけた。桜も素敵だけど。こちらの真紅も目を引きます

 

 

 

 

 

 

 

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