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グレープフルーツジュースと果実と血圧の薬

[2023.07.09]

1年も下半期7月突入。 私は先週早めの夏休みとりました。その間、クリニックの休みを知らずに迷惑かけてしまった患者さんにはごめんなさい。でもね…29日、木曜の仕事を終えて、深夜に羽田からクアラルンプール経由でバリへ。月曜の午後には現地を経つから、正味3日の現地滞在。おおよそバカンスと言うには短かすぎて、せめてもう一日くらい滞在できれば…。でも、昨年末の家族でのシンガポールについで、年2回のガス抜きは、短かろうと長かろうと、私には仕事をする上での潤滑油。乾期のはずがジャングルツアーかと思うような土砂降りの中、山岳地帯に出かけたり、つかの間の晴れ間のサンセットにうっとりしながら、日常をしばし忘れる去ることはできました。 当分、ヨーロッパへは、かつてのようなアクセスでは行けなさそうだから、時間勝負で効率よいガス抜きの目的地は当分このあたりなのかな?

さて、休みの後のblogの内容は、数日前の外来にいらした患者さんからの質問から。その方は糖尿病を罹患していて、インスリン治療中。食事療法もしっかりやってる方。うちでは高血圧やそのほか諸々、診ていますが、その方から「私の高血圧の薬はグレープフルーツジュースはダメと言われるけど、果肉ならいいの? 糖尿の食事療法でフルーツ取り入れたくても今の季節って、バナナとグレープフルーツくらいしか手軽な果物がなくて。グレープフルーツの果肉もダメとなるとバナナくらいしかなくて…」 時々このような質問を受けるので、今日は「グレープフルーツと血圧の薬」について。

高血圧の薬は、血圧をあげるホルモンの作用を抑えたり、血圧をあげる作用がある自律神経を抑えたり、血管を広げて圧を下げる作用、色々タイプがあるけれど、グレープフルーツが関係するのは「カルシウム拮抗薬」と呼ばれる血管を広げる作用を持つ薬たち。グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という物質が、私たちの体内にある、薬の分解に寄与する代謝酵素の働きを邪魔してしまう。結果、小腸で薬が分解されにくくなって体に吸収される量が必要以上に多くなり、血圧が下がりすぎたり、頭痛やめまいなどの副作用が出やすくなったりしてしまうわけ。 特に「ジュース」と言われるのは、ジュース一杯分に、より多くの果肉を絞って抽出するからジュース一杯でも果肉をたくさん食べたことのなるからなのでしょう。「もともと高血圧で薬飲んでて、理想血圧ってわけじゃないんだから、ほんの果肉のひとふさ、ふたふさなら大丈夫でしょう?」とも思われるかもしれません。実際どのくらいなら大丈夫か?のデータはない。データ自体、出せないのが現実。なぜなら、グレープフルーツの品種によっても、フラノクマリンの量はちがったり、ジュースが患者さんに、どのくらい影響するかも固体差があり、わからないから。だから医師も薬剤師も一般論として「避けましょう」といわざるをえないのね。実際、200mlコップ一杯で薬の効果が強く出たという報告はあるようです。また、「時間を空けたら大丈夫?」という質問について。 3日くらいグレープフルーツの影響は続くといわれているので、時間差作戦はあまりお勧めできません。最近様々な種類の柑橘類がでまわっているけど、グレープフルーツとの掛け合わせのスウィーテイ-とか、ザボン、八朔にもフラノクマリンがふくまれているので注意してくださいね。 こういわれちゃうと、グレープフルーツ好きには身も蓋も無い感じ。朗報なのは、同じ柑橘でもみかんやオレンジ、レモンは薬に影響しないから食べても大丈夫。  あと、例の患者さんみたいに「この季節に手軽に取る果物がない…」 こういう場合、同じカルシウム拮抗薬でも、グレープフルーツ(フラノクマリン)の影響を受けやすいものから比較的受けにくいものまであるから、苦肉の策なら、比較的影響を受けにくい薬剤を選ぶか、そもそもグレープフルーツとは関係ない薬に変更してあげた方がよいのかな?  また、カルシウム拮抗薬だけではなく、睡眠導入薬やコレステロールの薬、免疫抑制剤にもグレープフルーツとの相性が良くない薬もあるから注意ししてくださいね。  

昨日、今日、夕方、クリニック帰宅中。自転車を漕いでいたら、夕方のオレンジと青の空には様々な種類の雲。初夏の夕空って色んな雲が浮かんでる気がする。リゾートのサンセットもよいけど、今の季節の、暮れそうで暮れない夕方も好きだな。そういえば、清少納言も「夏は宵」って。やっぱりねえ…

インド洋に沈む夕陽。これはこれで…

 

 

 

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