歯周病と認知症
あっと言う間の葉桜。でも今週の主役ははなみずきにかわりましたね。街路樹にみずきが植えられているところが多いせいか、賑やかなみずきの花々はマラソンの沿道応援を彷彿とさせ、朝のペダル漕ぎも幾分軽やかになってくるような…。
今週外来やっていて目立ったことは、発熱伴う腸炎の患者さんが多かったです。迷う何症例かはPCRやったけど、もれなく陰性。結構激しい下痢と発熱。たまたまかもしれませんが、血液検査して抗生剤必要なケースも多かったな。
あと、「こういうこともあるのね」とかんじたのは、八ヶ月くらい前にコロナ感染一ヶ月経過したからと、IgG抗体測定希望でいらした患者さん。当然この時は陽性。今回、その方は興味もあるのか、再検査希望でいらっしゃいました。今回は陰性。うーん、個人差あるのでしょうが、半年以上たつと、感染してもIgG抗体陰性となることもあるんですね。だから、少なくとも一度かかったから大丈夫と考えないほうがよさそう。変異株も横行していますしね…こういう、ひとつひとつの症例の積み重ねを大事にしていきたいもの。皆さんにも予防の点からも共有した方がよい情報と判断し記載させていただきました。コロナ話題でもうひとつ。ワクチンは相変わらずストップのまま。私も都内のバイト先もまだ。報道では一回終わった医療従事者が16%、二回終了は7%とか?報道どおりみたいですね。進んでない。国は自治体任せで、その自治体もまとまった数のワクチンが現物として手元になければ、見切り発車で予約取ったりすることもできず…きいたはなしですが、どうも医療従事者向けと高齢者向けのワクチン管理発送する部署が違うようで、ワクチン接種担当の一施設だけに医療従事者向けと高齢者向けが既に届いたかと思えば、同じ地区の複数の医療施設には従事者むけすら、届いてないという…ワクチンについては、完全に先進国で遅れをとったといわざるをえない。これだけでなく、なんか、こう、国の対策、ひとつひとつがもたもたしてるというか…「日本って安心安全な先進国かとおもっていた…」うちにくる患者さんが何人かそう、ため息混じりに口にしていた。そうそう、腸炎患者さんと同じくらい、この手の呟きが多かったのも、今週の光景…。奇しくも、家で私も御爺と話していたところ。「ゴートゥナントカとか、ウーバーイーツとか、中途半端なおかしな事ばかりやらんでさっさとワクチン対策とか、予防策打ち出せば経済もついて来るんだ!日本はなにやってるんだ!後手後手だ!」御爺、御説ごもっとも!私も同感!でもね…笑いが止まらないなか、「ウーバーイーツは政府の政策じゃないよ!」「ふーん。じゃ何?」「出前みたいなもの。頼んだ食事を届けてくれるの。今、外食しずらいからこういうサービス流行ってるのよ」止まらない笑いのなか、必死に説明… わかりやすい話、私はお父ちゃまのウーバーイーツやってるでしょ?こういう業者さん…理解した模様…時に、お腹からわらかしてくれる御爺の存在は、なんか、こんなご時世には貴重だわ。
さて、本日も、歯周病のはなしの続き。先週のブログで歯周病を取り上げた矢先、「歯周病菌による全身炎症で認知症に」の記事が最新の「全国保険医新聞」に掲載されていたので、興味深い話でちょうどよいタイミングなので記事をかいつまんで取り上げます。
九州大学大学院歯学研究院のたけ ひろ准教授らの解明したメカニズムによると、歯周病を引き起こすジンジリバス菌の病原性因子が脳内に炎症を引き起こして認知機能低下を及ぼすことがマウスを使った実験でわかったとのこと。さらに、ジンジリバス菌による炎症が脳内だけでなく、全身で認知症の原因となるアミロイドβ蛋白が作られ、それが脳に蓄積されて行くメカニズムもわかってきた
。このジンジリバス菌は強い病原菌ではないけど、全身の炎症促進因子と抗炎症因子のバランスが崩れると様々な臓器で慢性炎症を引き起こし、年余にわたり地味にアミロイドβを作り、脳に運ばれ蓄積されていくと考えられる。アミロイドが蓄積しはじめてアルツハイマーを発症するまで25年ほどかかると言われていることもつじつまが合う話しですね。さらにはジンジリバス菌からアミロイドβが作られる過程で鍵となる物質もわかってきている。カテプシンという物質。物質がわかり、作用機序も解明されてきているけど、残念ながら、ここに作用する薬の開発に至るまではまだ先。認知症予防のためにも歯周病ケアは大事なわけね。記事では年に3~4回は口腔ケアの歯科受診をすすめておられました。