病気と時運と自運
ワクチン接種、企業でも始まる兆し、続々と。1000人規模の産業医付きの企業はもとより、小さな企業も寄せ集まって召集した元締が、先生をドクターバンクやクリニックへに依頼して…そんなニュースも今朝、やっていたっけ。良い傾向…先週blogに書いたけど、利権や政治的思惑ありのグレイなオリンピック開催、選手にはほんとに申し訳ないけど、開催は、もうどうでもいいって感じ。というか、国民が反対したって、尾身先生が警告したって、どうせいうこと聞かずにやるんでしょう? だったら事後の感染者増多に備えて出来ることはワクチン接種で予防線張るしかない。唯一の保険はワクチンしかない。先々週のblogのにも書いた通り、イケイケどんどん、遅れた日本人のワクチン接種進めるべき。
それに…先週は一瞬落ち着いたかのように見えたけど、ここのとこ、発熱相談、地味に増加。「ゆり子が(呼び捨てすみません)叫ぶと、ちほが慌てる」こんなちっぽけなクリニックでも、都の感染者をもののみごとに反映している。ここのところは若い家族の陽性者からの、同居濃厚接触家族の検査希望が多い。若い人出歩いているものね…昨日も帰りに笹塚に用事があり、帰路、茶沢通に行くはずが間違えて下北沢のメインストリートに入り込んじゃった。そうしたらまあびっくり! ?禁止エリアではないのに、押して歩くにも邪魔扱いされるほどの混雑振り。何があるわけでもない、ただのそぞろ歩きでこんなに人。若者ばっか…この光景見て、もうこれじゃ緊急事態宣言なんて、無きに等しいとつくずく感じた…緊急事態解除でますます人の気持ちは解放されるし、オリンピックやれば、奇跡でも起きないかぎり感染増多は回避できないと確信しました…だからこそ、開催なら、国民の保険の意味でもワクチンを…ですね。
結局今日の日曜診療でも発熱問い合わせ、何件かありました。「最近疲れが取れない」って思って考えたら、私5月3日から休みなかった! スパイク抗体できてるからってランニングハイならぬジョブハイ? 先週すごーく疲れた日があって、今日は急に休診しようかと思ってたんだけど…とんでもない、どうしても今日診るべき急患の問い合わせ、相次いだ。うーん7月から検診はじまるし、どこかで休みたいなあ…
梅雨特有の病気も、長いblogの歴史で書いてきて、いまさら感もあるので最近起きた、こういうこともあるのね…っていう実例を今日はつらつら書いていきます。ヒマツブシに読んで見てね…とある70台の女性。「右下腹部不快感と腹満」で来院。血液検査特記すべき異常無し。大腸検査歴もないから、検査を勧めたけど、初診でいきなり言われても…とのことだったから、じゃせめて便鮮血検査を、とした。2回とも陰性。「偽陰性も15%あるから心の準備がで来たら考えて」なんて話しながら投薬。この患者さん、覚悟決めたようで次の外来には「先生やってくれるなら遠いけど池袋行く」と言ってくださった。程なく検査。結果、治療必要な病変あり。そもそもの右下腹部痛は、むしろ筋腫が災いしていたようで、たまたまやった検査で、症状とは別のところに治療すべきものが見つかったわけ。この患者さんの覚悟を決めたことが幸した出来事。ここまでのことなら、正直、わりとよくある話し。症状とは別のとこに治療すべきものがあったというのはね。
ところが…その先も話しは続く。実はこの大腸病変、微妙な大きさで内視鏡治療の可能性もあった。ただ、池袋の私のバイト先、最近検査器具を最新のものに変えたばかり。詳細な観察が出来るのはすばらしいことだけど、やたら病変が大きく見えて、まだ実物とモニター画像のおおきさの感覚が取りにくい…上司の院長が、すぐに切除をとも提案もしてくださったが 私は安全策をとって、内視鏡治療できる大きさの感覚が掴めない以上、無理せず、ここでやらずに外科治療も可能な、信頼おける医療機関に送ることにした。この時は患者さんへは不便かけると思ったけど…CTも治療の施設でやってもらえるしね。ところが…早速帰ってきた治療経過報告に、画像もあった。見ると、胸腹CTで乳房に影…。 詳細な検査はまだこれからだが、おそらくこの患者さんにとっては、こちらが最優先の治療になるだろう…本人は全くこちらは意識してなかったから、半ば狐に鼻を詰まれたような感覚のようだったが…でもこれは(まだわからないけど)早期の発見なのでは?
「たられば」だけど、あの日、内視鏡室で「大きな病院への方が無難」とその場での治療を断ったのも、確固たる意識があったわけでもなく、何となく安全策を…と選んだこと。そもそも怖がってた患者さんが「この際だから」と検査をきめたのも患者さんの何となく虫の知らせ? この仕事をしていると、こうした出来事に時々出くわす… 実は…私の母はその反対の苦いケース。当時私が勤務していた検診センターでリニューアルオープンする際、モニターとして職員家族は無料検査招待を受けていた。母を誘ったのだが、何を思ったか、母はその権利を知人に譲ってしまったのだ…「私にはちほがついてるから」とかなんとか言って。その半年後に乳癌と胆管癌のダブルキャンサーが見つかった。知人に権利譲ってまで、こんな私が母には自慢だったのか、付いてたってこの有様…そんなことせずに、自分が検診受けてれば、乳癌はさておき、あそこまでの大手術に胆管癌もならなかっただろうに… 。今でも当時を思うと母に検診権利を強要しなかった事に胸が締め付けられる…。こういう事例もある…
病気になるのも、見つけるのも時運、自運… 不思議な力に支配されていると感じざるをえない。せめて私自身が考えにぶれがないようしっかりやっていかないと…ね。