瞑眩
今日は1日爽やかでしたね。 もともと「窓拭きデー」のつもりで朝から予定していたのでうってつけの天気! 同居の御爺も朝から、ルーチンの公園散歩もせずにスタンバイ… 一緒に手伝ってくれる。うかうか朝寝もできない。黄砂や雷雨で誇りっぽかった窓もすっきり! でも、この前、いつだったか、一緒に窓拭きしたときは感じなかったけど、御爺、時々「ふう」って休みがち。89になって、私の仕事を手伝ってくれること自体すごいけど、でも段々弱って来ているんだな…こんな時でないと感じない、父の状態。やはり時には日中の状態も見てないと…そんなことも感じつつも予定より早く終わり、明るい日差しの中で目に付くのは…そこここの埃…普段ほとんど日中いないから、まるで気がつかなかったけれど結構汚れている… 結局カーテン洗って、棚の清掃、ついでに、冷蔵庫の中中身の整理まで… ようやく夜になって、いつも通り、慌てて「更新、更新…昨日、明日更新します」っていいきちゃったから…とにかく今日中に更新せねば。
昨日前ぶりしましたが、今日は最近患者さんで経験した漢方にまつわるはなしを。
「瞑眩(めいげん)」。聞き慣れない方もいらっしゃるかとおもいます。これは、誤治でも副作用でもない、まさにその患者さんの悩みの種に効果を発揮する漢方が、好転反応として一過性に起こす想定外の激しい症状のこと。時々、漢方のセミナーとかでも話しに出ますが、漢方の専門医でも一生に数例しか経験しないような稀な現象。だから私が得た症例もホントに「瞑眩」としてよいかわからないけど、とのかく貴重な経験なので。
40歳台女性。「止まらない下痢」を主訴に初診。下痢をしている割には全体の印象はむしろ溌剌としたイメージ。「もともと便秘気味なのにこの10日間くらい、ところかまわずトイレに行きたくなる。家族もトイレが家にひとつしかないから、私のトイレの回数におもんばかっているくらい…」とのこと。嘔吐も無し。食中毒を思わせるエピソードもない。アルコールの影響もなさそうだし、膵性下痢でもなさそう。内分泌や膠原病疾患等の一症状も否定はできないが、よくよく聞いてみると、下痢が起きる少し前から婦人科で、とある漢方とプラセンタの注射をうけはじめたとのこと。「婦人科にはどういった症状で受診されたのですか?」 「とにかくホットフラッシュがひどくて…漢方処方されて嘘のように症状が取れて楽になったんですけど…」 患者さんの口調からは、下痢には困ってるものの、長らく悩まされた悩みの種から解放されたことの開放感の方が勝っているような印象… そこで私はふっと思いついた。「これがもしかして、瞑眩っていうもの?」 漢方処方する際、困ってる症状は少しも改善しないばかりか、良くない症状がでてくるようなら、それは副作用や誤治。ところが、この患者さんの場合、困った症状は嘘のようにとれて、その代わりに想定外の激しい症状が出ている。「瞑眩」の機序は不明だそうだが、岩のように固まって動かない「こしつ=患者さんが長い間悩まされている状態や病気」に対して、証にピッタリはまった漢方処方を下した結果、何らかの治癒機転が働いておきる現象。 そこでとりあえず、その日は採血しながら、「その漢方が、ホットフラッシュへの切り札であることはわかったわけだから、一旦中止してみましょう。もしかしたらその漢方が下痢の原因かも」 と話して、整腸剤と消化薬処方で様子を見ることに。 勿論、その日の血液検査は大きな異常なし。後日来院した患者さんは「下痢、おさまり傾向なんです。私も思ったんですけど、あの下痢はホットフラッシュの原因となっていた毒素を排出するための下痢だったのかしら…?」 と。これが瞑眩だったのかもしれませんね…。瞑眩自体は、服薬しているうちにおさまってきて、元々の症状への効果も治癒していくので、まだ経過を診ていく必要はあるけれど。
漢方服薬している方も多いので、副作用でも誤治でもない、こういう現象があることも皆さんに紹介してみました。
ふう、あと、20分で日にちは4日に。ぎりぎり、宣言したこと、果たしてすっきり。明日、明後日のゴールデンウイーク外来はどんなになるのかな? 忙しいならそれでよし。暇なら暇で整理事項は沢山。いずれにしてもクリニックへ行くことは良いことだわ。天気も良さそうだしね。