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避けられない弟8波と検査のジレンマ

[2022.12.04]

12月になり、あっという間の年末。「ほんと、今年は特にあっという間。毎日咀嚼する暇もないくらい、タダ日々を丸呑みしているうちに、12月…」患者さんに言ったら「消化器の先生は面白い例えをするのね」ですって。 でもほんと。毎日が白玉団子。つるつる味わうことなく飲み込んでしまったみたい。 その時々は必死に考えている気はするんだけど。 でも、この先数週間の年末は同じあっという間でも、なるべく熱く日々過ごせることが続いてほしい!何てったってワールドカップ。明日はどうなるのかな?まずはそこ。

さて、年末の声を聞く今の時期のクリニック最近の動向…外来の患者さんはこの時期、検診異常データーで来院される患者さん多く、メタボ疾患の投薬、バリウム異常の胃カメラ、便鮮血陽性での大腸内視鏡…特に今春からクリニックでも検査可能になった、大腸内視鏡…検査すれば大きなポリープや癌…結構見つかる…。たまたまなのかもしれないけれど、コロナ渦で検診控えていた人も多かったからその影響もあって今頃になりちょっと育ててしまった感ありの病変がみつかっているのかしら…   こういった通常の外来をうまく成し遂げられているのも最近の都の方針のおかげだ。 ただ、ジレンマ…というか、「だから第八波も仕方ない…」末端医療機関の見ている現実から感じたことを。

現在、コロナ感染が疑われる中学生以上、65歳以下の方(妊婦、基礎疾患ありを除く) は、自分で都のホームページから無料で抗原検査のキットを手に入れて検査をし、陽性ならば自分で登録するという仕組みが構築されている。このblogの8月14日にも記載したので、(その時は40歳以下だったけど今は更に拡大)その頃から始まった制度のはず。陽性確認にやり取りがあるから、インターネットにアクセス出来る環境が必要だけど、当該年齢の方はほぼ網羅出来る制度。 巷の発熱外来やっている先生がコメントしているように、以前は下手すると1時間以上かかっていた日々の感染者登録の手間が減り、業務の煩雑さはだいぶ軽減された。人手のある大病院はあまりピンとこないかもしれないけど、うちのような町の末端医療施設は、その分の時間を他の業務にまわせてだいぶ助かっている。さらに、自己申請の該当年齢から外れた高齢者、妊婦、基礎疾患有する人は重症化率も高いからと言うことで、積極的にうけいれ、ポイント押さえた仕事もできる、ところが…どういうわけか、この制度の存在がいまだ大きく取り上げられていない。知らない人も多い。先日、都の広報に陳述したけど、当然検討しますレベルでストップ。だから結局、発熱受診希望の電話対応で、朝の事務業務がストップしがちになるのは以前と変わらず…。    そして問題なのはこの先。「自分で取り寄せ調べて陰性だけど熱、咳など症状辛いから診てほしい」 みたいな患者さん…念のため…と再検査をこちらで施行すると半分近くが陽性なのだ! 皆信じられていないという面持ちで「そんなに鼻の奥まで入れるんですね…」と言う感じ。 素人だと慣れていないし、どこか、ためらい傷じゃないけど、陰性であって欲しいという気持ちがあるとひよった検査になるのは人情としてやむをえないだろう。でも…ってことは…何となく体調不良で「もしかしてコロナ?」無料だし念のため調べて陰性ならまっ大丈夫! ってなぐあいに疑陰性のまま、ただの風邪と思って生活している人も少なからずいることが推察される。 さらには「風邪だけど診てほしい」という受診希望者。「ご時世柄、医師が必要と判断すればコロナ検査するかもしれません」と受付が予約段階で伝えると「じゃ、いいです!」と、診療やめちゃう人も。やむを得ない事情でコロナと診断ついたら困るけど薬だけ欲しい…こんな具合の方からの電話も1日に数件はあるようだ。小さな街の診療所にすぎないうちのクリニックでおきていること、今までも都の状況と動向がリンクしていたから、都内全体がこんな感じなのだろう。 よって、ストイックに感染対策こうじていても、かかる人はかかってしまうのは、もはや止められない現実なのだと思う。 サッカー観戦で盛り上がる日本国内のパブリックビューイング、もはやマスク無しの海外の状況と変わらないし、この先感染者増えたとしても、勢いに逆らうことはできないのではないか。 一方、ワクチン接種も普及している現在、4、5回目はさておき、少なくとも三回までの接種で、重症化率は確実に防げるというデータはでている。日本人全体の67%、高齢者は90%以上が三回目までは終えているとのこと。二回目から三回目でブースタ効果が上昇するとのことだから、いつなってもおかしくない感染症となった今、少なくとも三回は接種すべきかと。  寒い季節だけど換気はマスト。こまめに空気いれかえつつ、時の流れを静観するしかないのかな?

検査のジレンマ…つまり医療現場は手間が少なくなったぶん、疑陰性者が気がつかれずに出てしまい、なんだか今の仕組みいいのかな? そうも思えるけど、発熱外来以外に時間が取れるようになり、胃カメラや大腸検査、早期発見すべき疾患罹患者も見つけている。  今の状況下で、ワクチン、発熱外来など街の小さなクリニックとして、できる寄与はしていきたいが、初期と様相異なって来たこの感染症、振り回されることなく、「コロナの時代じゃなかったら早く見つかっていたのに…」みたいなことは避けたいものです。

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